チェスターNEWS -2013/03/11-
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胎児がある場合の取り扱い
胎児の取り扱いは民法と相続税法では異なります。
民法では胎児は相続に関しては既に生まれたものとみなされます。
一方で、相続税法では申告期限までに胎児が出生していない場合にはその胎児を含めないところで相続税額を計算することとなっています。
胎児の遺産分割の可否については学説でも分かれており、胎児が生まれてくるまでは遺産分割協議はできないとする考え方と、遺産分割協議を行うことは可能であり、生まれてきた場合には、後に価額による支払をすればよいとする考え方があります。
しかし、生まれてきた子供が一人ではなく双子だった場合等生まれてくるまで不確定な要素があるため、遺産分割は出生まで待った方が良いと思われます。
また通常胎児とその親権者には利益相反の関係が生じるため、遺産分割については家庭裁判所に特別代理人の専任申し立てを行う必要があります。
申告期限までに出生し、遺産分割が整う場合は通常の申告を行えば済みますが、そうでない場合には下記の取り扱いになります。
①胎児の出生後に未分割の状態で申告を行った場合
分割協議が整った日の翌日から4ヶ月以内に修正申告の提出又は更正の請求を行うことができます。
②胎児の出生を待たずに未分割の状態で申告を行った場合
出生により法定相続人が増えるため、基本的に相続税を過大に納めている状態となるので出生の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行うこととなります。この更正の請求までに遺産分割が整わない場合にはその後は①と同じです。胎児の分の申告については一般に出生日の翌日から10ヶ月以内に法定代理人が行います。
また、胎児が生まれたものとして相続税額を計算した場合において、相続又は遺贈により財産を取得したすべての者について相続税申告書を提出する義務がなくなるときは、申請をすることにより、胎児以外の者の申告期限を生まれた日後2ヶ月の範囲内で延長することができるという特別な取り扱いもあります。
そのため、胎児が生まれれば申告書を提出する必要がないと見込まれる場合には申請書を税務署に提出し、申請の通りであれば申告をせずに済むことになります。

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