チェスターNEWS -2013/03/21-
さまざまな税についてのニュースを発信いたします。
関連キーワード: 養子縁組
相続税の節税対策のための普通養子と特別養子
養子は二種類に分かれる
養子とは、実際には血縁関係にない者同士に親子関係を発生させることであり、普通養子と特別養子の二種類に分かれます。前者は、原則として養親子間の合意によって両者の間に親子関係を生じさせるもので、養子縁組をした後でも養子と実親の親子関係が残るというのが大きな特徴です。後者は、家庭裁判所の審判によって養親子間に親子関係を発生させるというものであり、実親との親子関係はなくなります。
つまり、普通養子は養親が亡くなった場合に加えて実親が亡くなった際にも相続できますが、特別養子は養親の相続しかできないということです。
相続税対策と養子縁組
相続や遺贈等が発生すると相続税が課されます。これは全ての相続人が払うというわけではなく、課税価格から基礎控除額を引いてマイナスになった場合には払う必要がありません。課税価格とは税金がかかる遺産の総額のことであり、基礎控除額とはそこから差し引かれる金額のことです。基礎控除額は平成27年1月1日以降の相続から縮小されており、「3000万円+600万円×法定相続人の数」に変わりました。
そのため、今まで自分は関係ないと思っていた人でも対象となる可能性があるので注意が必要です。この式から分かるように、法定相続人の数が多ければ基礎控除額は高くなるため、相続税が控除される可能性が高くなります。養子縁組をすることによって養子は養親の嫡出子の身分を手に入れるため、養親の実子と同じ法定相続分が認められます。つまり、養子は縁組によって法定相続人になるため、縁組は相続税対策にも繋がるということです。
これは相続税の計算方式が「法定相続分課税方式」という計算方法に基づいているためであり、法定相続人の人数が増えれば増えるほど、相続税も減額される仕組みとなっています。それでは養子縁組をたくさん行い、養子の数を増やして相続税を意図的に大きく節税することは可能なのでしょうか?
数え入れる養子の数は限られる
ですが、ここで注意しなければならないことがあります。それは、基礎控除額の計算において、法定相続人として数え入れることができる養子の数には制限があるということです。制限を加える目的は、節税のためだけの養子縁組を防ぎ、節税する人が増えることを抑制するところにあります。普通養子の場合には、実子がいる場合は数え入れる養子は「一人だけ」となっていますが、実子がいなければ「二人まで」数え入れることが可能です。
一方で、特別養子は実子という扱いになるため人数制限はありません。次に、縁組の目的が相続税対策だけだという場合には、法定相続人として数えることが認められない可能性がある場合があります。ただし、これは養子縁組自体を否定するというものではないため、養子としての身分が解消されることはありません。

【次の記事】:小規模宅地等の特例の見直し(平成25年度税制改正)
【前の記事】:胎児がある場合の取り扱い