チェスターNEWS -2017/06/20-
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増改築工事に伴う価値増加分が反映されていない貸家はどう評価する?

被相続人が所有していた貸家(共同住宅)の増改築工事中に相続が発生した場合には、どのように貸家の評価を行うのでしょうか。増改築工事中では、固定資産税評価額が改訂されていないため増改築分の評価が反映されていないケースがあります。このケースの具体的な評価方法に関する定めは評価通達にないことから、財産評価通達5の(評価通達に準じて評価する規定)を基に評価することになります。
この評価方法について、平成28年12月7日採決(東裁(諸)平28第69号)のなかで、下記の通り各部分に分けて評価すると判断を示しております。
①改修工事完了部分
(増改築工事に係る再建築価額-減価償却費相当額)×70%
②改修工事中の部分
(再建築価額×工事進捗率)×70%
③改修工事未着手部分
固定資産税評価額-改修工事が完了した居室に相当する価額(工事完了部分)-改修工事中の居室に相当する価額(工事中部分)
上記のように、固定資産税評価が付されていない価値増加部分の評価については、工事進捗状況を反映した金額の70%相当額で評価することになりました。今後、財産評価通達で対応しきれないケースは多々あると思われるため、実務上、解釈で判断する必要は不可避といえます。

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