チェスターNEWS  -2017/11/21-

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無道路地の相続税評価で一部取消し判決[平成29年6月15日大阪地裁]

 (1)概要

無道路地の相続税評価で一部取消し判決[平成29年6月15日大阪地裁]

平成29年6月15日、市街化区域内にある無道路地(以下、「本件土地」といいます。)の相続税評価額が争われた事件で、大阪地裁が相続税更正処分等の一部を取消す判決をしました。

この裁判では、本件土地(丙土地)を含む計8件の各土地について、財産評価基本通達(以下、「通達」といいます。)による評価では適正な時価を算定することができない「特別の事情」が存するかどうかが主な争点となっています。

この8件の土地のうち、原告(納税者側)の主張が認められたのは、本件土地(丙土地)のみであり、残りの土地については、すべて「特別の事情」はないとして、被告(課税庁側)の主張が認められています。

(2)本件土地(丙土地)について

本件土地は、建築基準法上の道路に接していない無道路地でした。

この土地について被告は、通達に従い不整形地補正及び無道路地補正を適用して評価すべきと主張していました。

本件土地では、通路開設費用が9,126,600円必要であるのに対し、不整形地補正後の評価額は5,498,612円であるため、現実的に通路を開設して宅地として利用することが見込まれない土地でした。

しかしながら、通達20—2で認められている無道路地補正は、これを考慮する前の土地評価額5,498,612円の40%が上限とされており、この補正では上記のような事情が十分に反映することができません。

したがって、裁判所はこの状況を、通達による評価では適正な時価を算定することができない「特別の事情」が存すると判断し、原告の主張が認められました。

(3)本件土地以外について

一方、本件土地(丙土地)以外の土地については、すべて原告の主張は退けられていますが、その中でD土地に対する判断ついて具体的に見ていきたいと思います。

D土地は、市街化調整区域内にある雑種地で、通達に基づく評価方法は「倍率方式」という土地でした。

通常、雑種地の評価は、倍率地域であっても雑種地としての倍率が設定されていないことが多いため、状況が類似する他の地目の評価に比準して評価するというのが一般的です。

しかしながらこのD土地が所在する地域では、雑種地としての倍率が設定されていたようで、通達82のただし書きが適用され、固定資産税評価額に倍率をかけて評価することとなる、非常に珍しい事例です。

このような土地について、原告は、市街化調整区域の雑種地であり、青空駐車場や資材置き場程度の利用しかできないことを「特別の事情」として主張していました。(他にも法面があることについても主張していましたが、ここでは割愛させていただきます。)

しかしながら、D土地の相続税評価額のもととなる固定資産税評価額は、既に雑種地補正率(0.6)をかけて算定されていたため、上記のような状況は既に考慮済みであり、「特別の事情」は存しないと判断されました。

(4)特別の事情ついて

このように、何かしらの個別事情があり、土地を鑑定評価額により申告する場合のように、通達に定める評価方法以外の評価方法による申告(いわゆる時価申告)をする場合には、単にその鑑定評価額などが正しいという主張だけでは足りず、通達による評価方法では適正な時価を算定することができない「特別の事情」が存在することが必要となります。

つまり、言いかえると、その個別事情が通達では考慮しきれていないということが必要であるということになります。

この点、上記2つの事例を比較すると、

【丙土地】

■個別事情 … 通路開設費用が土地評価額よりも高額である

■通達   … 無道路地補正は土地評価額の40%が限度であり考慮しきれていない

特別の事情あり

【D土地】

■個別事情 … 市街化調整区域の雑種地であり、青空駐車場や資材置き場程度の利用しかできない

■通達   … 固定資産税評価額の雑種地補正(0.6)で考慮されている

特別の事情なし

となり、この点が両土地の判断の分かれ目となったことがわかります。

したがって、鑑定評価などによる時価申告をする場合は、単に鑑定書などを提出するだけではなく、この「特別の事情」が存することを立証することが非常に重要となりますので、注意が必要です。

監修者 福留正明

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