チェスターNEWS  -2018/04/11-

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CRSにより国税庁が国外財産を捕捉、課税へ。申告漏れに注意!

CRSにより国税庁が国外財産を捕捉、課税へ。申告漏れに注意!

「国税庁は、国外にある財産まで把握できないだろうから、その分は税金を払わなくても大丈夫だろう」と思っていませんか?

今まで国税庁が把握することの難しかった国外金融機関の口座情報が国税庁に提供される仕組みである「CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)」の運用が始まります。

ですから、「国税庁は、国外にある財産まで把握できないだろう」と安心して、税金を申告しなかったり、過少申告していると、後からペナルティを受ける危険があるので、今後は注意が必要です。

1)CRSとは何か

CRSとは、国税庁のHPによると、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準であり、OECD(経済協力開発機構)において公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。この基準に基づき、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します(国税庁HP参照)。

例えば、日本に住んでいるAさんがフランスの銀行に金融財産を持っている場合を考えます。この場合、フランスの税務当局がそのフランスの銀行からAさんの口座情報の報告を受け、そして、フランスの税務当局は、Aさんが居住する国である日本の税務当局に、フランスの銀行の口座情報を提供するというものです。

2)誰が対象?

CRSに基づく情報提供の対象となるのは、原則として、「国内に住所を有し、又は現在まで引き続き1年以上居所を有する個人(自然人)」「国内に本店又は主たる事務所を有する法人」です。ですので、例えば、日本国籍を持たない外国人であっても、日本国内に住所を有したり、1年以上居所を有している以上は、その保有する国外口座の情報が国税庁に提供されます。

また、上記の自然人が実質的支配者となっている一部の法人(「特定法人※」)については、その実質的支配者の情報についても、CRSに基づく情報提供の対象となります。

そして、法人の実質的支配者とは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者を言います。具体的にどのような者が「実質的支配者」となるかどうかについては、犯罪による収益の移転防止に関する法令の規定により、法人の性質に従って決定されます。例えば、株式会社、投資法人、特定目的会社等の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人等が「実質的支配者」に該当します。ただし、名義株主(株主名簿上の名義と真の株主が一致しない株式のこと)であることが明らかである場合や、他の自然人が議決権の50%超を保有している場合は、実質的支配者には該当しないとされます。

※「特定法人」に該当するかどうかについては、国税庁のHP(~ 口座開設等を行う法人の方へ ~)を参照下さい。

3)CRSによる情報交換を行っている国はどこか

このように、国外の金融機関の口座情報が自動的に日本の税務当局に提供されるのであれば、それがどの国の金融機関について当てはまるのかは、とても気になるところだと思います。

では、CRSによる情報交換を予定している国は、どこなのでしょうか。

まず、日本は、2017年12月31日時点での国外金融機関の口座を対象に、2018年9月に初回の情報交換を予定しています。日本と同様に、2018年9月に初回の情報交換を予定している国としては、オーストラリア、中国、香港、マレーシア、モナコ、パナマ、シンガポール、スイスなどがあります。

また、これらに先行して、2017年9月からCRSによる情報交換を行っている国には、英領ヴァージン諸島、ケイマン諸島、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、スペイン、英国などのヨーロッパ諸国の他、インド、韓国などがあります。

このように、現在では、約100ケ国がCRSの導入を予定しており、注目すべきは、タックスヘイブン(租税回避地)として有名な英領ヴァージン諸島やケイマン諸島などもCRSによる情報交換を決定しているということでしょう。

ただ、米国は、独自にCRSと同様の制度(FATCA:Foreign Account Tax Compliance Act)を整備しているため、CRSによる情報交換は行っていません。

なお、各国がCRSに基づく自動的情報交換を実施する予定の国・地域について、詳しくはOECDのHPを参照下さい。

4)日本が、CRSに基づく情報交換を行う国はどこか?

上記のような国がCRSに参加することを表明していますが、実際に、日本がCRSに基づく情報交換を行うのは、「日本と租税条約等を締結していて、かつ、CRSに参加することを表明している国」ということになります。

具体的には、以下の国になります。

「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令」第16条の12第8項に関する「報告対象国」:

アイスランド、アイルランド、アゼルバイジャン、アルゼンチン、アルバ、イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、ウルグアイ、英国、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、ガーナ、ガーンジー、カナダ、キプロス、キュラソー、ギリシャ、クック、グリーンランド、クロアチア、コスタリカ、コロンビア、サウジアラビア、サモア、サンマリノ、ジブラルタル、ジャージー、シンガポール、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セーシェル、セントクリストファー・ネーヴィス、セントビンセント、セントマーチン、セントルシア、大韓民国、チェコ、中華人民共和国、チリ、デンマーク、ドイツ、トルコ、ニウエ、ニュージーランド、ノルウェー、パキスタン、パナマ、バルバドス、ハンガリー、フィンランド、フェロー諸島、ブラジル、フランス、ブルガリア、ブルネイ、ベリーズ、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マカオ、マルタ、マレーシア、マン島、南アフリカ共和国、メキシコ、モーリシャス、モナコ、モントセラト、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク、レバノン、ロシア(83国の地域・地域)

<国税庁HP:CRSに基づく自動的情報交換の「報告対象国」一覧表(2017年12月28日施行)

報告金融機関等は、これらを「報告対象国」として、2018年5月1日までに所轄税務署長に報告を行います。

また、上記の国の中には、タックスヘイブンとして有名なシンガポールやスイス、香港も含まれていることは注目すべき点であると思います。

5)CRSにより交換される情報は具体的にどのようなものか

では、CRS対象になるとして、どのような情報が実際に交換されるのでしょうか。

具体的には、毎年9月末に、前年分に関する以下の情報について、国外の税務当局から国税庁に提供されることになります。

〇個人情報…氏名、住所、生年月日、居住地国、納税者番号(マイナンバー)、口座番号

〇収入情報…利子、配当、株・社債の譲渡代金などの年間受取総額

〇残高情報…預貯金残高、有価証券残高などの口座残高

国外の金融機関では納税者番号(TIN:Tax Identification Number)としてマイナンバーの確認がされることがあります。国外の金融機関からマイナンバーの提出を求められた場合、マイナンバーの提出をしないと、口座の利用制限を受けたり、口座が強制的に閉鎖されることもあります。

6)最後に

平成24年の税制改正で、国外財産調書制度というものが新設されています。これは、国外財産を保有する者から、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度です。具体的には、毎年12月31日時点で5,000万円超の国外財産を保有する者が、その財産の金額や種類などを記載し、翌年3月15日までに提出が求められています。

対象となるのは、「非永住者以外の居住者」であり、非永住者とは、「居住者のうち日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人」を指します。とすれば、日本に6年以上居住していれば、外国人であっても国外財産調書の提出が必要ということになります。

この国外財産調書については、提出を怠っている人が多く存在すると予想されていますが、今後、CRSにより情報交換がされることにより、国外財産調書を出していないものについても、国税庁が国外財産の存在を把握することになります。

日本では、2018年9月に初回のCRSによる情報交換が行われる予定ですので、国税庁としては、この際に入手した情報と申告書とを照らし合わせ、申告漏れがあることが判明すれば、税務調査に入ることになります。この場合、修正申告などで追加納税が必要となる場合もあり、また、国外財産調書が未提出の場合、加算税5%が課されることになり、酷いケースでは重加算税が課されることもありえます。その上、国外財産調書の未提出に対する刑事罰(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用を受けることもありえます。

ですので、国外財産についての申告漏れがある場合には、早期に修正申告をし、国外財産調書も提出することが望ましいと思われます。

監修者 福留正明

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