チェスターNEWS -2014/04/22-
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農地等についての相続税の納税猶予の特例
相続人が農地等を相続又は遺贈により取得して農業を営む場合には、下記に掲げる一定の要件のもと、特例農地等の価格のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税が一定期間猶予されます。
■要件■
<被相続人の要件>
次の①又は②のいずれかに該当する人であること
①死亡の日まで農業を営んでいた人
②農地等の生前一括贈与をした人(死亡の日まで贈与税の納税猶予又は納期限の延長の特例を受けていた場合に限られます。)
<農業相続人の要件>
この特例の適用を受ける相続人を「農業相続人」といい、農業相続人の要件は次の①又は②に該当する人であること
①相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行うと認められる人
②農地等の生前一括贈与の特例の適用を受けた受贈者で、特例付加年金又は経営移譲年金の支給を受けるためその推定相続人の1人に対し農地等について使用貸借による権利を設定して、農業経営を移譲し、税務署長に届出をした人
※ 贈与者の死亡の日後も引き続いてその推定相続人が農業経営を行うものに限る
<特例農地等の要件>
この特例の適用を受ける農地等を「特例農地等」といい、特例農地等の要件は次の①~③までのいずれかに該当するものであり、相続税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載したものであること
①被相続人が農地の用に供していた農地等で申告期限までに遺産分割された農地等
②被相続人から戦前一括贈与に良い取得した農地等で、被相続人の死亡の時まで贈与税の納税猶予又は納期限の延長の特例の適用を受けていた農地等
③相続や遺贈によって財産を取得した人が相続開始の年に被相続人から生前一括贈与を受けていた農地等
<その他の要件>
・納税猶予税額に見合う担保を提供すること
・継続届出書の提出(3年毎) 等
■納税猶予の期限の確定■
納税猶予期限前に、農地等の譲渡・転用、農業経営の廃止等、一定の事由が生じた場合には、納税が猶予されていた相続税額の全部又は一部について納税猶予の期限が確定し、その相続税額を利子税と共に納付しなければなりません。
■納税猶予された相続税額の免除■
次の①~③のいずれか早い日まで納税が猶予された相続税は、原則として免除されます。
①農業相続人の死亡の日
②相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日
③上記②に該当する日前に、その特例農地等を農業後継者に生前一括贈与をした場合には、その贈与日
■相続税額の計算■
農業相続人の相続税額
A + ( B - C )
A…特例適用農地等の価格を農業投資価格によって計算した場合の農用相続人の納付すべき税額
B…同一の被相続人から相続又は遺贈により取得したすべての者の取得財産の価格を通常の評価により計算した場合の相続税額
C…特例適用農地等の価格を農業投資価格によって計算した場合の相続税の総額
農業相続人以外の相続人の相続税額
上記Cによる相続税額の総額を、その者の相続税の課税価格の比によって按分して計算した税額
(※相続税の納税猶予の特例と贈与税の納税猶予の関係)
相続税の納税猶予を受けた農地等について、農業相続人が自分の農業後継者に贈与税の納税猶予の特例を受ける贈与をすれば、納税を猶予されていた相続税額は免除されます。この様に、農地等について農業を継続する限り、相続税の納税猶予の特例及び贈与税の納税猶予の特例の適用を順次受けていくことにより、農地についてその収益性に見合う価格に応じた税負担で、農業後継者に農地等を受け継いでいくことができます。

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