チェスターNEWS -2014/04/30-
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二世帯住宅における小規模宅地の特例可否について
相続税を大幅に減額する手段として、小規模宅地の特例は最も有名な制度のうちの一つである。この制度は、相続人の生活において基盤となる土地については、重い相続税がかからないよう配慮した制度であるが、制度の仕組みをよく理解していないと、いざ相続が開始したときに、予想を大幅に凌駕する相続税を支払わなければならないこともある。
最近では、二世帯住宅などで建物が区分所有されている世帯について、小規模宅地の特例の適用可否が問題となることが多い。
平成25年5月31日公布の政令において具体的な整備がなされ、租税特別措置法施行令第40条の2 第4項、第10項によると、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が「建物区分所有法1条の建物」に該当する場合は、被相続人の居住用部分の敷地のみが、小規模宅地の特例の対象となる。この「建物区分所有法1条の建物」とは
「区分所有建物である旨の登記がされている建物」であり、それまで、二世帯住宅の内部で行き来できれば、敷地全体に小規模宅地の特例を適用できることが多かったが、今後は、区分所有建物か否かが争点となる。
この解決策として、合体の登記または合併の登記を行い、建物の登記を区分所有状態でなくすことが挙げられる。
合体の登記とは、別個独立の建物として登記されている建物の壁に穴をあけドアを取付ける工事により障壁をなくすなど、中間部分を増築する等物理的な変更を加えることで、構造上一個の建物とした場合に、その現況の変化を表題部に表す登記である。
また、合併の登記とは、別個独立の建物として登記されている建物を、登記記録上において、一個の建物とする登記である。この場合、合体の登記と違い工事の必要はないが、合併制限が働くので、それぞれの建物所有者が同一でなければならない。
生前に上記の登記をしておくことで、全ての敷地に小規模宅地の特例を適用できる可能性があり、(特定居住用の場合評価額が80%減額)相続税額も大きく結果が変わることがあるので、該当する可能性のある方は是非、一度弊社へご相談ください。

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