チェスターNEWS -2014/08/06-
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親が老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例
親が老人ホームに入居していた状態で、相続が発生した場合に小規模宅地等の特例は適用できるのでしょうか。
この、税制改正により、平成26年1月1日以降発生の相続開始分からは適用要件が緩和されました。
改正前の制度においては、次の1~4の要件をすべて満たした場合に、被相続人が老人ホームへ入居する前に居住の用に供されていた宅地等が小規模宅地等の特例の適用対象となっていました。
1. 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入居することとなったものと認められること。
2. 被相続人がいつでも生活できるようにその建物の維持管理が行われていたこと。
3. 入居後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
4. その老人ホームは、被相続人が入居するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。
そのため改正前は、特別養護老人ホームへの入居を希望しつつも入居できず、やむを得ず終身利用権を取得し有料老人ホームに入居した場合などには、特例の適用を受けることが出来なくなるという可能性があるという問題がありました。
そこで、今回の改正で上記の適用要件のうち2と4の要件が廃止され、適用要件が緩和されました。また、内容についても具体的に明確化されています。
上記1の老人ホームに入居することとなった事由については、相当する要件として、下記の通り定められています。また、対象となる老人ホームの施設も明示されました。
① 介護保険法に規定する要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が次に掲げる住居又は施設に入居又は入所していたこと
・老人福祉法に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、
・介護保険法に規定する介護老人保健施設
・高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定するサービス付き高齢者向け住宅
② 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が同法に規定する障害者支援施設又は共同生活援助を行う住居に入所又は入居していたこと。
なお、上記の要介護認定、要支援認定、障害者支援区分の認定を受けていたかどうかは、入居・入所前に認定を受けている必要はありません。
上記3の従前居住していた家屋の状況については、具体的に、被相続人の居住の用に供されなくなった後に、あらたにその宅地等を①事業(貸付を含む)の用、②被相続人またはその被相続人と生計を一にしていた親族以外の者の居住の用に供した場合には、その宅地等は特例の適用を受けることはできないこととされています。
また改正後は、新たに相続税申告書に添付する書類として次のものが必要となりました。
①相続開始日以後に作成された被相続人の戸籍の附表の写し
②介護保険の被保険者証の写し又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス受給者証の写しその他の書類で、その被相続人がその相続開始の直前において介護保険法に規定する要介護認定若しくは要支援認定または障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害支援区分の認定を受けていたことを明らかにするもの
③被相続人がその相続開始の直前において入居していた施設の名称、所在地、施設の種類を明らかにする書類

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