チェスターNEWS  -2015/05/08-

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遺言が見つかった場合の遺留分計算の方法

1.遺留分制度の概要

(1)遺留分とは

遺留分とは、被相続人の財産のうち、一定の相続人が最低限取得できる財産のことです。被相続人は自己の財産を遺言により自由に処分できますが、遺言により特定の者が被相続人の全ての財産を取得してしまうことも考えられます。特定の者が全ての財産を取得することにより、財産を全く取得できなくなってしまった相続人が不利益を被ることを防ぐ趣旨から設けられた制度が遺留分制度です。

例えば、「全財産を内縁の妻に相続させる」という遺言を作成した場合、残された家族が生活費等の面で不安定な立場になってしまいます。民法ではそういった不都合を軽減させるために、法定相続人に遺言によっても侵害することができない最低限の権利を認めているのです。

(2)遺留分権利者

遺留分を主張する権利がある者は、相続人である配偶者、子(第一順位相続人)、父母等(第二順位相続人)です。相続人である兄弟姉妹(第三順位相続人)は遺留分を主張する権利はありません。

2.遺留分、遺留分侵害額の計算方法

(1)遺留分の計算方法

遺留分の計算は、以下の算式で求めることができます。

(Ⓐ遺産+Ⓑ生前贈与-Ⓒ債務)×Ⓓ遺留分の割合=遺留分

Ⓐ遺産
不動産や金融資産など、被相続人が死亡したときに所有していた財産のことです。

Ⓑ生前贈与
生前贈与に含まれる贈与は、以下の贈与です。

①相続人への特別受益に当たる生前贈与*1

②相続人以外の者への相続開始前1年以内にされた生前贈与

③②以外であっても、遺留分権利者の利益を害することを知って不当に行われた贈与

*1「特別受益にあたる生前贈与」とは、相続人に対する生計の資本としての生前贈与のことです(民法903)。贈与金額の多寡や扶養の必要性に照らし、生計の資本としての贈与に当たるか否かを判断します。通常、不動産購入のための資金援助は特別受益に該当しますが、扶養の範囲で行われる生活費や学費の贈与は特別受益には該当しません。

Ⓒ債務
借入金など、被相続人が死亡したときにあった債務で、確実と認められるものです。

Ⓓ遺留分の割合
全体の遺留分の割合に、法定相続分を乗じて計算します。
全体の遺留分は、直系尊属(父母、祖父母等)のみが相続人である場合は1/3、その他の場合は1/2になります。

(2)遺留分侵害額の計算方法

遺留分がいくら侵害されているのかは、以下の算式で求めることができます。

遺留分-(相続した財産額-相続した債務額)-(特別受益額+遺贈額)

(3)遺留分、遺留分侵害額の計算の具体例

被相続人:甲
相続人:配偶者乙、長男A、長女B
被相続人甲の財産:不動産6,000万円、金融資産3,000万円(遺言で配偶者乙が不動産を、長男Aが金融資産2,000万円を、長女Bが金融資産1,000万円を取得)
被相続人甲から長男Aへの生前贈与(特別受益):2,000万円
被相続人甲の債務:借入金1,000万円(長男Aが相続)

①遺留分の計算の基礎となる金額

6,000万円+3,000万円+2,000万円-1,000万円=1億円

②各人の遺留分

配偶者乙:1億円×1/4=2,500万円
長男A:1億円×1/4×1/2=1,250万円
長女B:1億円×1/4×1/2=1,250万円

③各人の遺留分侵害額

配偶者乙:2,500万円-(0円-0円)-(0円+6,000万円)=△3,500万円 ∴遺留分侵害額なし
長男A:1,250万円-(0円-1,000万円)-(2,000万円+2,000万円)=△1,750万円 ∴遺留分侵害額なし
長女B:1,250万円-(0円-0円)-(0円+1,000万円)=250万円 ∴遺留分侵害額250万円

3.遺留分減殺請求

遺贈や贈与により取得した財産が、遺留分の金額を下回っている場合は、遺留分の金額まで財産を取得することができる権利を行使することができます。この権利のことを、遺留分減殺請求といいます。

上記2.(3)のケースでは、長女Bの遺留分侵害額は250万円となるため、250万円分の財産の返還を配偶者乙、長男Aに請求することができます。

なお遺留分減殺請求を行う場合は、相続の開始があったことを知った日から1年以内、又は相続開始時から10年以内に権利行使する必要があり、この期間を超えると遺留分減殺請求はできなくなります。

監修者 福留正明

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