相続税法基本通達における財産取得の時期の特例

相続税基本通達第1条の3と1条の4には、相続税と贈与税についての基本的な共通事項が定められています。この中に、相続や贈与で財産を取得した時期についての記載があります。これらの項目について、基本的にはいつが取得時期になり、基本に当てはまらない場合はどうなるのかを知っておかなければ、申告漏れなどの事態が発生しかねません。

ここでは、相続税や贈与税を申告する時期を知る上で基本となる財産の取得時期について、相続税法でどう定義されているのかを説明します。

1.相続税基本通達における財産取得時期の原則

相続税基本通達第1条の3及び1条の4の8に、相続もしくは遺贈、贈与された財産を取得したとする時期についての原則的な考え方が定義されています。

(1)相続もしくは遺贈された財産の取得時期

相続や遺贈によって財産を取得した時期は、「相続の開始の時期」と定められています(被相続人が死亡した瞬間です。なお、相続人が被相続人の死亡を知っていたかどうかは問われません)。
また、失踪や戦争や船の沈没のような危難など、死亡時期が特定できない場合は、それぞれ以下のように定められています。

・失踪……失踪してから7年間を経過した時点
・危難……危難が去った時点(戦争終結時や船の沈没時)

(2)贈与された財産の取得時期

贈与については、贈与される手続きなどによって違っています。

・書面による贈与………その契約の効力が発生した時点
・口頭による贈与………贈与の履行があった時点(権利書の授受や登記などを行った時点)
・停止条件付き贈与……その条件が成就した時点(大学に合格したら車を贈与すると約束した場合に、大学に合格した時点)
・農地などの贈与………農地法の規定による届け出などの効力が発生した時点

以上が、相続や贈与で財産を取得した時期を特定するための原則です。基本的にはこの原則をもって時期を特定して、そこから納税時期などが決まることになります。

2.相続税基本通達における財産取得時期の特例

財産取得の基本原則は1.にて説明させていただきました。しかし、相続税基本通達には贈与の時期についての特例が定義されています。具体的に見ていきましょう。

(1)贈与による財産取得時期の特例

贈与はされたが、時期が明確でない場合、基本原則では正確な時期が特定できません。そのため、相続税基本通達第1条の3及び第1条の4の11にて、「その登記または登録があったときに贈与があったものとして取り扱うものとする」と定義されています。つまり、贈与された時期が曖昧な場合は、何らかの手続きしたときを贈与された時期とするわけです。

もちろん、契約書など効力の発揮する時期が明確になっている場合は、その時期が財産を取得した時期になるのは原則通りです。しかし、もしその契約書に記載された時期以降、長期間登記などが行われていない場合や、契約書の記載自体が曖昧で、財産を正確に規定されていない場合、その契約書そのものの実効性が疑われます。そのため、そんな場合も上記の特例が適用されることとなり、実際に登記などの手続きが行われた時期を、財産を取得した時期として扱います。

参考:国税庁HP

チェスター相続クラブ

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