延納手続きにおいて不動産等の割合を計算する場合の端数処理
相続税の延納可能な期間は原則5年以内ですが、相続財産に占める不動産等の価額が50%を超える場合には、延納申請者の相続税納税額のうち、相続税額×不動産等価額/相続財産価額(=A)の部分が15年まで、相続税額-Aの部分が10年まで、延納が可能です。以下では上記の割合を計算する際のルールについて解説します。
相続税の延納とは
相続税は、相続人が相続のあったことを知った日の翌日から起算して10カ月目の日までに申告・納税することが原則です。
しかし、その期限までに納税することが困難な場合には、一定の手続きを経ることによって、相続税の延納をすることができます。
その相続税延納の為の一定の要件とは、以下の要件となります。
(1)相続税の金額が10万円を超えること
(2)金銭で納付することを困難とする事情があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること
(3)延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること(一定の場合不要)
(4)延納申請に係る相続税の納付期限までに、延納申請書に担保提供関係書類を添えて税務署長に提出すること
相続財産に占める不動産等の割合で異なる延納可能期間
相続税法第38条第1項では、延納ができる期間は原則として5年以内としています。
しかし、同条同項括弧書きにおいて、遺贈により取得した財産で当該相続税額の計算の
基礎となったものの価額の合計額(「課税相続財産の価額」)のうち、不動産、立木その他
政令で定める財産の価額の合計額(以下「不動産等の価額」という)が10分の5以上で
あるときは、5年を超える延納を可能としています。
そして、課税相続財産の価額に占める不動産等の価額が10分の5を超える場合に、延納
が可能な期間は、不動産等の価額に対応する相続税額として政令で定める部分の税額に
ついては15年以内、その他の部分の相続税額については10年以内と規定しています。
なお、不動産の価額等の価額に対応する相続税額として政令で定める部分の税額とは、
延納許可を申請する者が納めるべき相続税額に、課税相続財産の価額に、不動産等の価
額が占める割合を乗じて算出した金額に相当する金額となります。
延納手続きにおいて不動産等の割合を計算する場合の端数処理
延納手続きにおいては、課税相続財産に占める不動産等の価額によって延納可能年数が
異なるわけですから、延納申請をする場合には、まず、その割合を計算しなくてはなり
ません。
その計算過程における端数処理の方法を示したのが、相続税基本通達38-8「延納手続き
において不動産等の割合を計算する場合の端数処理」です。
最初に行う、課税相続財産の価額に占める不動産等の価額が10分の5を超えるかどうか
の判定の際には、端数処理を行わず、そのまま、不動産等の価額を課税相続財産の価額
で除して判断します。
上記の割合が10分の5を超えた場合には、続いて、延納申請者が納付すべき相続税額に、
課税相続財産の価額に不動産等の価額が占める割合を乗じて、15年まで延納可能な相続
税額の部分を計算します。
最後に、延納申請者が納付すべき相続税額から、15年まで延長可能な相続税額を控除し、
10年まで延納できる相続税額の部分を計算します。
この過程における課税相続財産の価額に不動産等の価額が占める割合を計算する際は、
課税相続財産の価額及び不動産等の価額の双方は千円未満切捨てとし、千円単位とした
不動産等の価額を同じく千円単位とした課税相続財産の価額で除した割合は、小数点第
3位未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
キーワード検索
入力されたキーワードに一致した記事を検索できます。