小規模宅地等の特例の私道に対する適用の可否
特定の者のみが利用する私道に隣接する宅地の居住者に相続があった場合、被相続人が居住する宅地とともに、被相続人が有していた当該私道の共有持分についても小規模宅地等の特例が適用されるには、どのような基準によるのでしょうか。以下で解説します。
国税庁の質疑応答「小規模宅地等の特例の対象となる私道」について
B、C、Dの3人が共同で使用している私道(持分1/3づつ共有)があったとします。
ここで、Bが亡くなり、Bの生前Bと同居していたBの相続人が、Bが居住していた不動産にBの死後も引き続き居住を継続する場合には、Bが居住していた土地について、小規模宅地等の特例が適用されることについては、何の疑問もありません。
では、Bが隣人C及びDと共同で使用していた私道も持分についても、小規模宅地の特例が適用されるのでしょうか。
この疑問に対し、国税庁の質疑応答「小規模宅地等の特例の対象となる私道」においては、
当該私道は、被相続人Bが所有していた居住用宅地の効用を維持するために必要不可欠なものであるから、当該私道の共有持分に対しても、小規模宅地等の特例が適用されると回答しています。
小規模宅地等の特例の私道に対する適用の可否
上記の質疑応答から、私道に対する小規模宅地等の特例の適用の可否の判断のポイントは、当該私道が、被相続人の居住用建物の敷地となっている宅地の効用維持に不可欠なものであるか否かという観点であることが分かります。
よって、小規模宅地等の特例の適用を受ける宅地の居住者が、その私道を通らなければ公道に出ることができないような場合には、当該私道にも小規模宅地等の特例は適用されます。
一方、例えば、小規模宅地の特例の受ける宅地上が2つの公道に通じており、その内の1つのより重要でない公道にでる場合には私道を通らなければならないが、もう片方のより重要な公道にでる場合には、私道を通らなくてもよい場合等、私道の存在が宅地の効用維持に不可欠とは言えない場合には、当該私道に対して小規模宅地等の特例は適用されません。
私道の利用形態によって異なる相続税評価方法
私道であっても、通り抜けができるような不特定多数が利用する私道については、公共用道路として、相続税の課税対象から外れます。
この場合には、実質的には、当該私道に係る相続税の100%が軽減されるわけですから、
評価額の80%が軽減される小規模宅地の特例は問題とする必要はありません。
一方、所有者のみが利用する私道の場合には、その私道が宅地の効用維持に不可欠な場合には、小規模宅地等の特例が適用できますが、その私道の相続税評価は、当該私道が宅地であるものとして実施されます。
最後に、上記のA、B、Cのように特定の者のみが利用する私道については、その評価額を、当該私道が宅地であるとした場合の評価額に共有持分割合及び私道であることによる土地利用制限率を考慮した割合である30%を乗じた価額とした上で、さらに、小規模宅地の特例を適用することが可能です。
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