相続開始時から申告期限まで引き続き当該家屋に居住しているとは
相続した宅地が「特定居住用宅地等」としての要件を満たせば、相続税の節税対策になります。
これには「相続開始時から申告期限まで引き続き当該家屋に居住している」という条件が必要ですが、これは具体的にどういった状況を指すのでしょうか。
簡単に言うと、相続人にとってその宅地が生活の拠点となっていれば良いのですが、少し分かりづらいところもありますね。ここではそのあたりも含めて分かりやすく解説しています。
海外転勤や単身赴任の場合、居住していると認められるのか
「特定居住用宅地等」は、「相続開始時から申告期限まで引き続き当該家屋に居住している」という条件を満たすことで初めて認められます。
しかしながら、ここでいう『居住している』とはどういった状態のことを指すのか、相続においてこういった問題に直面した人でなければ分かりづらいのではないでしょうか。
ここでは「居住している」と見なされるための、最低限必要な要因を確認してみましょう。
(1)相続人が単身赴任や海外に転勤することになった場合
例えば以下のような状況があった場合、「居住している」と見なされるかどうか考えてみましょう。
1. 相続人が親と同居していた宅地を相続。
2. その後、相続税を申告するより前に相続人が海外に転勤(単身赴任)となる。
3. ただし相続人の配偶者や子供は引き続きこの宅地に住み続けている。
こういった状況は現代におい特別に珍しいことではなく、多くの人に起こりえると言えます。果たしてこの場合、「居住している」という条件は満たされたことになるのでしょうか。
(2)生活の拠点として利用されているとは?
結論としては上のような場合でも「居住している」と認められます。ここではその理由をご説明しましょう。 この場合「居住」の定義となるのは、「生活の拠点として利用されていること」となります。ただ「生活の拠点」と言っても、必ずしも相続人本人だけに限定されるものではありません。
相続人の配偶者や子どもたちが日常的にその家屋で暮らしているという状況は、当該家屋が相続人にとって「生活の拠点として利用されている」と見なされるのです。
また、転勤などによる一時的な状況が解消されたときには、家族と共に居住することが既定路線として考えられるので、そうした家屋については相続人が「居住の用に供している」と認識されます。
したがってこれらの理由から、この家屋のある宅地は「特定居住用宅地等である小規模宅地等」に該当することになります。
(3)特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当しない場合
当然上記と逆の場合は、当該宅地が特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当しなくなります。つまり、相続人の配偶者や子が、相続税の申告期限よりも前にこの宅地上の家屋に居住しなくなった場合がこれにあたります。
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