単身赴任中の相続人が取得した被相続人の居住用宅地等についての小規模宅地等の特例
亡くなった方が事業をされていた場合、事業を行ったり居住するために土地を所有していることがよくあります。その土地は、残された家族にとっては生活の基盤であり欠くことのできないものです。このような土地に対しても、通常の相続税を課税するというのは酷であるという配慮から、一定の要件を満たす土地の相続税を減額できる小規模宅地等の減額の特例という制度があります。この制度を利用することにより相続税を大幅に減額できるのですから、残された家族にとってはたいへん重要なことです。
1.小規模宅地等の減額の特例とは
小規模宅地等の減額の特例は、個人が相続した財産や遺贈によって取得した財産がすべて対象となるわけではなく、亡くなった人またはその人と生計を一にしていた親族の事業もしくは居住用の宅地が対象となります。
また、対象となる宅地には次のような面積の制限があります。
(1)事業用なら400㎡まで。
(2)居住用なら330㎡まで。
(3)貸付事業用なら200㎡まで。
2.単身赴任中に相続することになった場合
人が亡くなるというのはなかなか予想できるものではありませんので、相続も突然開始する場合がほとんどです。現代社会では仕事をしているほとんどの人が会社へ勤務しています。会社の規模にもよりますが、家族がいても単身赴任することが多いのは現実です。親と同居していて、子が住宅を残して単身赴任するというケースもあるでしょう。では、親が急に亡くなって相続が開始した時に子は同居していない場合でも、小規模宅地等の減額の特例が認められるのでしょうか。
この点、特例が認められる条件として、その宅地に相続税の申告期限に居住している必要があるとされています。つまりこの条件を満たせば、その宅地について相続税の減額を受けられます。
3.申告期限に居住していなかった場合はどうなるのか?
では、相続人が単身赴任中で、申告期限に居住していなかった場合はどうなるのでしょうか。
このような場合は、「居住しているか」という基準で判断していきます。その際、形式な判断をするのではなく実質的な判断をします。つまり、ただそこに住んでいるかどうかではなく、生活の拠点となっているかどうかという観点から判断します。
その住居に妻と子が住んでいて、単身赴任が終わればその家に帰ってくるのであれば生活の拠点があるといえます。したがって、単身赴任していても居住していると認められ、小規模宅地等の減額の特例は認められます。
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