相続税の計算における胎児の未成年者控除

相続人が1人の成人だけだった場合はあまり問題になりませんが、相続税の計算において相続人の数や種々の控除はとても大きな問題です。相続人が1人増えるだけで控除金額が大きく変わりますし、その相続人が未成年であれば、未成年者控除も考慮しなければいけません。
例えば、被相続人の配偶者が妊娠している場合を考えましょう。被相続人の配偶者の子供には、もちろん財産を相続する権利があります。しかしそれがまだ生まれていない胎児だった場合、どうなるのでしょうか?

滅多にないことかもしれませんが、こういったこともきちんと把握しておいて、相続税の計算を間違えないようにしましょう。

1.相続税における未成年者控除

相続人に未成年者がいる場合、相続税が控除されます。なお、ここでいう未成年というのは「20歳未満」のことを指しており、婚姻しているなどで民法上「成年とみなされる」場合を考慮する必要はありません。
そのため、相続開始時の相続人の年齢が、20歳に達しているかどうかだけを考慮すれば良いということになります。

2.相続に関する胎児の権利能力

人には生まれながらに色々な権利能力があるとされています。ただしその多くはこの世に生まれ出た瞬間に得るものであり、まだ産まれていない胎児はそれらを持っていないと解釈されています。
しかし、民法886条にて「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と規定されています。つまり、被相続人から財産を相続する権利能力についてだけは、生まれる前から持っているということになるのです。

ただし、「既に生まれたものとみなす」わけですから、死産だった場合はその権利が最初からなかったと解釈されますので注意しなければいけません。このことは、民法886条の第2項にも明記されています。

3.相続税の計算における胎児の未成年者控除

上記のことから、被相続人の配偶者が妊娠していた場合、その子供にも相続人としての権利があるということになり、未成年者ですので未成年者控除の対象になります。なお、年齢は0歳とカウントされますので、控除額については(20歳-0歳)×10万円=200万円の固定です。

ただし、遺産分割については安易に同様だと考えてはいけません。そもそも、相続人の中に未成年者がいる場合、法定代理人を立てなければ、遺産分割協議を行うことができません。しかしこの場合、母親と胎児は利益相反するため母親が胎児の代理人になることができず、他の第三者がなれるかどうかについても明確な規定がないのです。つまり、胎児が遺産分割協議に参加できるかどうか、法的にグレーなのです。

それに残念ながら、「胎児が元気に生まれてくる」という保証はどこにもありません。
これらを考慮すると、子供が生まれてから、改めて遺産分割協議などをやり直して、種々の控除をはじめ相続税額を再計算し、相続税の修正申告をした方が良いでしょう。

【参考】
国税庁 相続税法基本通達19の3-3(胎児の未成年者控除)

チェスター相続クラブ

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