遺贈により財産を取得した一親等の血族の相続税の計算

相続は、被相続人の血族である法定相続人に対して行われます。つまり、本来はそれらの人たちしか被相続人の財産を取得する権利がないのです。

しかし、被相続人が遺言書を遺しており、そこに記載されている場合には、法定相続人以外の他人であっても、財産を取得することができます。この場合の財産の譲渡を「遺贈」と呼び、財産を譲渡する被相続人を「遺贈者」、財産を取得する人を「受遺者」と呼びます。
なお、遺言で法定相続人への財産譲渡が指定されていた場合は、たとえその法定相続人が相続放棄していたり、何らかの理由で相続権を廃除されていたりしたとしても、受遺者として財産を取得することができます。

財産を受け取った受遺者については、当然、相続税を納める義務が生じます。それら相続税の計算方法について、解説していきます。

遺贈による財産の取得

遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」という2種類があります。

・包括遺贈
財産のすべて、もしくはその中の一定の割合を譲渡する遺贈で、もし被相続人が債務を負っていた場合、その債務も同じ割合だけ相続することになりますので、注意が必要です。また、遺贈を放棄することも可能ですが、相続人の相続放棄と同じく、遺贈を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければいけません。

・特定遺贈
特定の財産を遺贈することで、遺言に記載がない限り債務を負うことはありません。
また、特定遺贈も放棄することが可能です。ただし特定遺贈の場合はいつでも放棄することが可能で、遺言執行者や相続人へ意思表示するだけで手続きは完了となります。

なお、「包括遺贈」と「特定遺贈」のどちらにしても、受遺者は遺贈された財産の評価額に応じた相続税を支払う義務が発生します(包括遺贈を受け、債務を遺贈された場合は、債務分は控除対象となります)。

(1)相続税の計算

遺贈によって財産を取得した場合の相続税計算についても、他の相続人と一括して同様に計算することになります。しかし、受遺者がいる場合は、相続人だけの場合と比べると少し違っています。

1.遺贈者を含むすべての財産を取得した人の相続税課税価格を算出し、その合計を算出します。
2.以下の計算式を用いて、課税価格の合計から基礎控除額を差し引き、課税対象となる遺産の総額を計算します。

遺産総額 = 課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

※受遺者が法定相続人ではない場合は、基礎控除の「法定相続人の数」には含まれませんので注意が必要です(相続放棄などで受遺者となった法定相続人は含まれます)。

3.法定相続人が法定相続分に従って取得したとして遺産総額を分配し、法定相続人ごとに税率をかけて相続税額を算出します(この時点では、受遺者に分配しません)。
4.3.で算出した相続税額をすべて合計し、相続税の総額を算出します。
5.相続税の総額を、1.で算出した課税価格の割合で相続人及び受遺者へ分配します。

(2)遺贈により財産を取得した一親等の血族の相続税の計算

受遺者が被相続人の一親等の血族でも配偶者でもない場合は、最終的に相続税が2割加算されますが、受遺者が相続放棄などをした法定相続人で、一親等の血族だった場合は、2割加算されません。そもそもの相続の原則である血族への譲渡という部分は、遺贈でも適用されるということです。
しかし、受遺者は一親等の血族であろうがなかろうが、相続税の他にも以下の税金を納める必要がありますので、気を付けましょう。

・不動産取得税(特定遺贈の場合のみ。原則3.0%)
・登録免許税(2.0%、相続の場合は0.4%)

【参考】
国税庁 相続税法基本通達
国税庁 タックスアンサー No.4152 相続税の計算

チェスター相続クラブ

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