負担付贈与の課税価格
贈与税というのは、生きている人から財産を贈与されたときに、贈与された側に課せられる税です。
ただし、贈与税は相続税の租税回避を防ぐために作られており、比較的高額な税金となっていますので、安易な贈与は贈与された人にとって大きな負担となってしまう可能性があります。
しかし、単に贈与するだけではなく、少し工夫することで、トータルとして節税できる場合があります。例えば、財産を贈与するときに一定の負担も合わせて贈与する場合がそれにあたります。
具体的には、アパートを贈与する代わりに残りのローンを負担させる場合などです。「負担付贈与」と呼ばれるそんな贈与の場合、贈与税はどう計算されるのでしょうか?詳しく解説します。
負担付贈与の課税価格
負担付贈与に課せられる贈与税の課税価格は、贈与される財産の価額から負担する債務の価額を控除した金額になります。
贈与税課税価格 = 贈与された財産の時価 - 負債の金額
そのため、負担がある分贈与税を抑えることができるでしょう。
負担付贈与の注意点
負担付贈与については、以下の点に注意しなければいけません。
1.贈与した財産が土地や建物などの場合、価格は「時価」で計算される
例えば不動産を相続した場合の評価額は一般的に「路線価」になります。そのため、このときの評価額は時価の7割から8割程度になっているのです。しかし負担付贈与では、あくまでも時価で計算することになっていますので、贈与税の負担が思ったよりも大きくなる可能性があります。
土地や建物などではない財産だった場合は、相続税評価額と同等として計算されることになっています(ただし、相続税評価額の原則が「時価」ですので、ひとまずは「時価」と考えても良いでしょう)。
2.贈与した負担の金額に対して、贈与者に所得税が課せられる
贈与した側は、負担を贈与することでその分の利益を得たと解釈され、贈与した負担の金額に応じた「みなし譲渡所得税」が課せられます。忘れないようにしなければいけません。
これは、贈与した負担の金額で財産を売却したと考えれば、理解しやすいと思います。事実、時価よりも安い価格で売却した場合も、売主には所得税が課せらますし、買い主には、時価と売却価格との差額に「みなし贈与税」が課せられます。
3.借り替えの審査がある
贈与については贈与する側とされる側で同意するだけで問題ありませんが、債務者の変更には、債権者の承認が必要です。つまり、負担付贈与の負担が住宅ローンなどであった場合、銀行などの債権者の承認(審査)が必要になってきます。
4.贈与者には、財産に対する責任が課される
負担付贈与の場合、通常の贈与と違って受贈者が相応の負担を負うため、贈与者には売主と同等の責任(瑕疵責任など)が課せられます。
5.受贈者には、負担の履行義務が課される
負担付贈与を受けた受贈者には、その負担を履行する義務が生じます。そのため、負担を履行しなければ、贈与者は贈与契約を破棄することが可能です。
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4426 負担付贈与に対する課税
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