青色申告事業主が配偶者に支給した専従者給与と贈与税
社会保険診療報酬の所得計算の特例を受けること
事業所得をして青色申告をしている場合、基本的に零細な事業所も多く、家族が従業員として働いているというケースも珍しくはないでしょう。そういう場合でも、家族だからということで『手伝い』という形で終わりにせず、しっかりと従業員として給料が支払われるということも少なくはありません。
こうした場合には『所得税法第57条第1項』が関わってきます。ここでは『事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等』が規定されており、給与が支払われる場合にはこの規定を適用した所得計算が行われることになります。
受けた後だと、それまでの専従者給与は贈与とみなされてしまうのか
でも、こうしたケースでは課税について疑問が出て来るケースがあります。問題となるのは、『租税特別措置法第26条』です。
ここでは『社会保険診療報酬の所得計算の特例』というものが規定されています。つまり、(従業員である)家族に対してごく普通に給与を払うという形態を取る他に、この特例を適用して給与分を申告することも可能になるのです。
例えば、医業にまつわる事業所得で青色申告をしている人間の配偶者が、従業員として働き、労務の対価として給与を受けているとします。しかし途中から、事業所得の計算について、『租税特別措置法第26条』にある『社会保険診療報酬の所得計算の特例』の適用を受けられることになります。
そこで『所得税法第57条第1項』の規定による所得計算を行わないことにします。
こうした場合、それまで支払っていた専従者給与相当額に対しては、贈与税が課税されるでしょうか。これは結論としては、『課税されない』というのが答えとなります。給与の額が、労務に対して相当と認められる額である限り、給与は労働の対価と認められ、贈与により取得したものとはなりません。そのため贈与税は課税されません。
なお、支払いを受けた給与については、配偶者の給与所得として課税されることになります。
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