修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算税

農地に係る納税猶予の特例を受けているものが、申告期限後に修正申告を行った場合、納税猶予される税額が増加します。その場合、その増加した猶予税額に対して、過少申告加算税は賦課されるのでしょうか。以下では、この問題について解説します。

農地に係る納税猶予の特例について

本題に入る前に、農地に係る納税猶予の特例について解説します。

個人で農業を営む方が、一定の要件に該当する農地を、推定相続人に贈与した場合や、同じく、農業を営む被相続人が所有していた一定の要件を満たす農地を、相続人が農業と一緒に承継した場合には、農地等に係る納税猶予の特例が利用できます。

この特例は、贈与又は相続に係る農地の本来の贈与税額又は相続税額から、当該農地に係る農業投資価額に対応する部分の税額を控除した税額の納税を、一定期間猶予できるというものです。

ここで、農業投資価額とは、評価対象農地を農業にしか利用できないと仮定した場合に成立する農地の評価額のことをいいます。市街地から遠く離れた農地では、実際の評価額と農業投資価額は近似する傾向があります。一方、市街地に近い農地では、実際の評価額が農業投資額を上回る傾向が強くなります。

例えば、農地の本来の評価額を150万円、当該農地の農業投資価額を100万円とします。
また、税率を10%とします。すると、当該農地を相続又は贈与によって取得した場合、
本来であれば、150万円×10%=15万円の税金が課税されます。

しかし、農地に係る納税猶予の特例を利用すれば、申告期限までに納めるべき税額は、
農業投資価額に対応する税額ですので、100万円×10%=10万円です。そして、本来の税額である15万円とこの10万円の差額である5万円が、当該特例によって納税が猶予される金額となります。

農地に係る納税猶予の特例の対象者が修正申告をした場合について

さて、農地に係る納税猶予の特例を利用して納税の猶予を受けていた者が、相続税又は贈与税の確定申告の後に、申告した相続(贈与)財産の評価に誤りを発見し、その評価額を増額する修正申告を行ったとします。

この場合、修正申告に正当な理由がない場合や、修正申告が税務署の調査を予知して行われた場合には、原則として、修正申告によって追加的に納めるべき税額に10%又は15%の
税率を乗じた過少申告加算税が付加されます。

ところで、納税猶予の特例を受けていた者が、このような修正申告を行った場合には、納税猶予される税額が増加します。しかし、修正申告で納税猶予額が増大しても、その増加分の納税額も猶予されますから、原則として、修正申告で支払うべき追加納税額はないことになります。

このような場合でも、過少申告加算税を支払う必要があるのかどうかが問題となりました。

修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算額

この問題に対して、国税庁はその質疑応答「修正申告等に係る贈与税(相続税)額の納税猶予に係る加算額」において、次のような見解を示しています。

それは、上記のようなケースでは、修正申告によって納税猶予の特例の適用が認められる税額が増加した場合でも、修正申告に正当な理由がある場合やそれが税務署の調査を予知して行われたのではない場合を除いて、その増加額は過少申告加算税の賦課対象となる、というものです。

この見解により、修正申告をした場合には、増加した納税額も納税猶予特例の対象となるために追加的に支払う税額がない場合でも、一定の例外を除き、増加した税額に対する過少申告加算税の支払いが必要になります。

チェスター相続クラブ

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