住宅用家屋の新築等の対価又は増改築等の費用の範囲

自分や自分の家族と住むための家を新築・購入したり家の増改築をする時に、自分の両親や祖父母から資金援助をしてもらうことがあると思います。このようなケースでは一定の範囲内において贈与税が非課税となる特例が用意されています。それが「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」です。

高齢化社会が進行する現在の我が国では高齢者の手元に資産が集中しており、若年層や中年層に中々資産が移転していないという状況があります。親や祖父母から子や孫への資産移転を促進することによって社会をより活性化させるというのがこの制度の目的ですが、もう1つの目的として省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性を備える高性能住宅の普及促進ということがあります。これらの住宅取得の際はより非課税限度額が大きくなっています。

1.「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」とは

 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の適用を受けるには、様々な要件をクリアする必要があります。しかし適用が受けられると、将来的に相続が発生した場合でも相続税法上の相続財産には含まれないことから非常に節税効果が高いものとなります。

(1)受贈者の要件

まず資金をもらう人は、以下の3つのうちのどれかに当てはまらなくてはなりません。

 ・贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること
 ・贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの、日本国籍を有し、かつ受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること
 ・贈与を受けた時に日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を要していること

 その上でさらに「贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(子や孫)であること」「贈与を受けた年の1月1被において20歳以上であること」「贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること」という条件を全て満たす必要があります。

(2)「住宅取得等資金」の要件

 住宅取得等資金とは、受贈者が自ら住むための家を新築・取得したり、自ら住んでいる家を増改築するための対価にあてるためのお金である必要があります。もちろんこれらの家の敷地として使われる土地や借地権、新築(資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに行われたものに限る)に先行してする土地や借地権の取得に必要なお金も含まれます。

(3)「居住用家屋の新築・取得、増改築」の要件

まず居住用の家屋とは、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。

 ・家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。
 ・購入する家屋が中古の場合は次のいずれかの要件を満たす必要があります。
・耐火建築物である家屋の場合はその家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること
・耐火建築物以外の家屋の場合はその家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること
・地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」「住宅性能評価の写し」または既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること
・上記3つのいずれにも該当しない家屋の場合で、その家屋の取得の日までに同日以降に耐震改修工事を行うことについて所定の手続きをし、かつ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき、一定の書類で証明されたものであること
 ・床面積の2分の1以上に相当する部分が居住専用であること

なお居住用の家屋が2つ以上ある場合は、受贈者が主に暮らしている1つの家屋のみとなります。

増改築については、受贈者が日本国内に所有し自ら住んでいる家屋について行われる増築、改築、大規模修繕、
大規模模様替えその他の工事のうち一定のもので、次の3つの要件を全て満たす必要があります。

 ・改築等の工事に要した費用が100万円以上で、なおかつ居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上
であること
・増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。
・改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。

 なお、新築・取得、増改築いずれの場合も住宅取得等資金を取得した年の翌年3月15日までに受贈者が住宅用家屋等に居住していること、または住宅用家屋等に居住することが確実であると見込まれることが要件となります。

(4)非課税限度額

 平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に直系尊属からの贈与で住宅取得等資金を取得した場合における受贈者1人あたりの非課税限度額は、住宅の種類や契約の締結期間がいつになるかによって異なります。

【消費税が8%の場合】

住宅用家屋の新築等の対価又は増改築等の費用の範囲

【消費税が10%の場合】
住宅用家屋の新築等の対価又は増改築等の費用の範囲

 当初消費税の10%への増税は平成29年4月に予定されていましたが、平成28年5月に安倍首相が平成31年10月に再延長することを表明したため若干先行きが不透明になっています。必ず最新の情報を確認するようにして下さい。

 なお「良質な住宅」とは、「耐久性が高いこと」(耐震等級2以上または免震建築物)、「省エネ性能に優れていること」(断熱等性能等級4以上、または一次エネルギー消費量等級4以上)、「高度なバリアフリー機能を備えていること」(高齢者等配慮対策等級3以上)のいずれかを満たしている住宅のことを指します。

2.住宅用家屋の新築等の対価または増改築等の費用の範囲

「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」は直系尊属から子や孫に対して住宅用家屋を新築・取得や増改築のための費用を贈与した際に適用されるものですが、この「費用」の範囲がどこからどこまでなのかが問題となります。

(1)費用に含まれるもの

 まず当然費用に含まれるのが、新築の場合は家屋の建築にかかる工事の請負代金の額、あるいは建築済みの新築家屋を購入する場合はその売買代金の額、増改築の場合はその工事にかかる請負代金の額です。これらと一体の附帯設備として設置した電気設備等がある場合、家屋の建築対価には含まれないものの現実として工事請負代金に含まれていることが多いので、費用に含めてもよいことになっています。

 またこれらの設計を工事請負業者以外の建築士等に依頼した場合、その設計料等も費用に含めることが出来ますし、前述のようにこれら新築や取得、増改築をする家屋の敷地として取得する土地の代金も費用に含まれます。

(2)費用に含まれないもの

 逆に費用に含まれないものは「売買契約書等に貼り付けた印紙代」「不動産仲介業者に支払う手数料」「不動産取得税」「登録免許税」などです。これらは家屋の新築・取得や増改築に欠かせないものではありますが、直接的に要する費用ではないということから費用には含めないことになっています。

チェスター相続クラブ

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