住宅取得資金に充てた場合の住宅取得等資金の贈与の特例の適用
贈与税はその年の1月1日から12月31日までに贈与された財産の合計額から基礎控除の110万円を差し引いた金額に対して、税率をかけて算出し、翌年の3月15日までに納めることになっています。
このときの税率については、他の税金(所得税や相続税)に比べると高いものになっているため、贈与された受贈者の負担は大きくなってしまっており、これが生前贈与の促進を阻んでいる要因の1つとも言われています。そのため、相続時精算課税制度などを活用していく方法もありますが、もっと直接的な特別控除が存在しているのです。
1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
租税特別措置法第70条第2項で定められているこの特例は、直系尊属(主に父母や祖父母)から贈与された財産を住宅取得のために利用した場合、その贈与税が住宅資金非課税限度額(最大1,500万円)まで非課税となります。なお、この限度額は受贈者1人あたりの金額になりますので、複数の直系尊属から贈与された場合でも変わりません。
(1)受贈者の条件
この特例を受けるためには、受贈者が以下の条件を満たしておかなければいけません。
・受贈者が無制限納税義務者であること(贈与時に日本国内に住所があるか、5年以内に住所があった日本国籍の者であること)
・贈与を受けたときに、贈与者の直系卑属(子や孫)であること(子や孫の配偶者は含まない)
・贈与を受けた年の1月1日時点で、20歳以上であること
・贈与を受けた年の合計所得額が2,000万円以下であること
(2)直系尊属の範囲
なお、直系尊属というのは基本的に父母や祖父母を指します。
この父母については、養子縁組をした養父母も含まれます。また、受贈者が養子の場合は、その実父母も直系尊属に該当します。ただし、その養子が特別養子(実父母と絶縁している養子)の場合は、実父母は直系尊属に含まれません。
(3)住宅取得資金の範囲
この特例が適用される「住宅取得資金」というのは、受贈者自身が住むための住宅を新築、増築、改築、土地の取得などを行うために充てる資金のことを指しています。
ただし、その建築や土地売買に受贈者の親族などが携わっている場合(息子に住宅設計を依頼する、配偶者の実家の工務店に建築を依頼するなど)は、この特例は適用されませんので、気を付けなければいけません。
2.特例が適用される贈与の範囲
この特例は住宅取得用に贈与された財産の贈与税に対して適用されるものですが、その贈与される財産については、現金での贈与に限っているわけではありません。
例えば、「贈与者が保険料を負担している生命保険金」のような「みなし贈与財産」についても、それを住宅取得に使用される場合は適用されることになります。
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 質疑応答事例 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例等を受けた場合の住宅借入金等特別控除の対象となる住宅借入金等の範囲
国税庁 相続税法 措置法第70条の2
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