国外財産の贈与を受けた場合の相続時精算課税の適用
贈与する側の贈与者と贈与される側の受贈者に制限がありますが、贈与を受けた場合には、通常の暦年課税ではなく、相続時精算課税を選択することができます。
税制上有利であることが多いこの相続時精算課税は、国外の財産ではどの程度適用できるのでしょうか?
1.相続時精算課税
相続時精算課税制度を適用すれば、その特定の贈与者からの贈与について、合計で2,500万円までの控除を受けることができます。また、相続時精算課税制度を適用した場合の贈与税の税率は、一律20%となっています。
ただし、贈与者が亡くなることで相続が開始したときに、今まで相続時精算課税制度を適用して贈与された財産の評価額の合計も相続税の課税対象となるため、相続税の計算には注意が必要です。しかし、相続時精算課税を適用して納めた贈与税額の合計を相続税額から控除することができますので、うまく活用すればトータルとしては節税になることが多いでしょう。
なお、1度相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与はすべて相続時精算課税が適用され、通常の暦年課税には戻せません。暦年課税の基礎控除110万円と贈与財産の金額を考慮したうえで、選択しなければいけません。
2.国外の財産を贈与された場合
財産を贈与されたときに日本国内に住所がある(生活の拠点が日本国内にある)場合は、国外の財産を贈与された場合でも贈与税が課税されます。
ただし、贈与された財産のある国の課税制度上、その国の税金を納めなければならない場合、納めた外国税を贈与税から控除することができます。
なお、このとき、その国の通貨から日本円への換算については、受贈者が主に取引している金融機関で財産を取得した日に公開されているTTBを使用して行われます。
(1)相続時精算課税の選択
国外の財産を贈与された場合でも、贈与税の申告時に手続きをすることで、相続時精算課税を選択することが可能です。もちろん、それ以降は暦年課税に戻ることはできないことに変わりはありませんので、注意してください。
なお、相続時精算課税の適用された贈与税についても、納めた外国税を控除することが可能です。
(2)相続時精算課税の選択時の相続税
相続時精算課税を選択した場合、その贈与者の相続が開始された場合に計算する相続税については、相続時精算課税を適用した財産の評価額の合計も加えたうえで算出します。これは、国外財産であっても同様です。
また、算出された相続税額から相続時精算課税で納めた贈与税額の合計を控除することができるのも同様です。ただし、このとき控除する贈与税額は、外国に納税した外国税を控除する前の金額(外国税を含めた金額)になりますので、気をつけましょう。
【参考】
国税庁 質疑応答事例 国外財産の贈与を受けた場合の相続時精算課税の適用
国税庁 タックスアンサー No.4665 外貨(現金)の邦貨換算
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