抵当証券の相続税評価

ここでは被相続人が抵当証券を保有していた場合の相続税法上の評価についてご紹介します。

1.抵当証券の種類

抵当証券とは、不動産を担保にした貸付金債権を証券化したものをいいます。また、その抵当証券を一般投資家に小口で販売する金融商品のことをいう場合もあります。一般投資家が所有する抵当証券は、後者を指すことがほとんどなので、ここでは、後者の小口化された抵当証券についてご説明します。

元となる貸付金債権は返済期限が30年といった長期のものが一般的ですが、小口化するときには、証券会社等が6か月から5年程度で買い戻すと定めて販売します。証券会社等は投資家に対して、元利金の支払を保証します。つまり、万が一、貸付金債権が回収不能となった場合でも、投資家は元利金が保証されます。そのため、抵当証券は、貸付金債権というよりは、むしろ預貯金に近い金融商品と考えることができます。

一方、証券会社等が破たんした場合は、状況が異なります。元利金の保証を行っている証券会社等が破たんすると、元利金は支払われず、証券の買戻しにも応じてもらえません。この場合の抵当証券は、貸付金債権としての性格を帯びることになります。そのため、購入にあたっては、元の貸付金債権よりも証券会社等の信用状況に目を配る必要があります。

2.抵当証券の評価方法

以上のような特徴から、抵当証券の評価方法は次のとおり定められています。

(1) 証券会社等が販売した抵当証券

証券会社等が販売した抵当証券は、証券会社等が満期日に投資家から買い戻すこととされており、また、満期日前の買戻しにも応じることとされています。そのため、証券会社等が課税時期においてその抵当証券を投資家から買い戻すとした場合の価額で評価します。具体的には、次の算式により計算した金額とします。
 元本の額(※)+税引後の既経過利息の額-解約手数料
 (※)証券会社等が課税時期において買い戻す価額を別に定めている場合はその金額

(2) (1)以外の抵当証券

この場合は、抵当証券は貸付金債権とみなされ、財産評価基本通達204≪貸付金債権の評価≫を準用して評価することになります。つまり、抵当証券に記載された元本の額と既経過利息との合計額で評価します。
また、貸付金債権の回収が困難であると見込まれるときは、財産評価基本通達205≪貸付金債権等の元本価額の範囲≫に準じた方法をとります。回収が困難である部分は元本には算入せず、抵当権によって担保される部分があるときは、その部分を元本に算入します。

(3) (1)の抵当証券のうち、販売した金融商品取引業者等が破たんしたもの

この場合は、抵当証券の買戻しや元利金の支払いが履行されないので、貸付金債権として評価することが妥当であると考えられます。したがって、(1)の方法ではなく、(2)と同様の方法で評価することになります。

【財産評価基本通達】(その他の財産)
(抵当証券の評価)
212 抵当証券の価額は、次に掲げるところにより評価する。(平11課評2-12外追加、平20課評2-5外改正)
(1) 金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者(以下「金融商品取引業者」という。)の販売する抵当証券又は同条第12項に規定する金融商品仲介業者(以下「金融商品仲介業者」という。)が媒介等を行う抵当証券
 金融商品取引業者又は金融商品仲介業者が課税時期においてその抵当証券を買い戻すとした場合における次の算式により計算した金額
元本の額(金融商品取引業者又は金融商品仲介業者が課税時期において買い戻す価額を別に定めている場合はその金額) + 既経過利息の額 - 既経過利息の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額 - 解約手数料
(注) 当該抵当証券のうち、金融商品取引業者又は金融商品仲介業者による買戻しが履行されないと見込まれるものは、(2)により評価する。
(2) (1)に掲げる抵当証券以外の抵当証券
 204≪貸付金債権の評価≫及び205≪貸付金債権等の元本価額の範囲≫の定めに準じて評価した金額

チェスター相続クラブ

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