余剰容積率の移転がある場合の宅地の相続税評価

都市計画法上の市街化区域では、敷地面積に対する建築可能な建築物の延べ面積である容積率が指定されます。一定の要件を満たすと、容積率に余りがある場合に、その余りを隣接地所有者に売却できます。さて、余剰容積率を他に移転し土地や、その移転を受けた土地を相続した場合、その相続税財産評価はどうなるのでしょうか。以下では、このことについて解説します。

余剰容積率やその移転とはどういう意味なのか

余剰容積率の移転がある場合の宅地の相続税評価について解説する前に、その前提として、余剰容積率やその移転とはどういう意味なのか、について解説します。

容積率とは

容積率とは、宅地の敷地面積に対する建物延べ面積のことです。例えば、容積率200%といえば、120㎡の敷地に、1階60㎡、2階60㎡の建物が立っている場合や、1階40㎡、2階40㎡、3階40㎡の建物が立っている場合が該当します。

さて、都市計画法上で市街化区域に該当すると、用途地域が設定された上、用途地域ごとに容積率の制限が指定されます。例えば、主として商業その他の業務の利便の増進を図る商業地域では、容積率は、200%から1,300%の範囲内で都市計画により定めた率となります。

この容積率は、都市計画法で「特例容積率適用区域」に指定されると、容積率に余剰があれば、空中権(余剰容積率を利用する権利)として、隣接地の土地所有者に対して売却できます。

余剰容積率の移転とは

例えば、ある土地の建築可能な建物の容積率の上限が500%、実際の建物の容積率が300%だったとします。この場合、200%が余剰容積率になります。この土地が「特例容積率適用区域」の中にあれば、この余剰容積率を隣接地の土地所有者に売却できます。

その際、隣接地所有者は、通常の容積率である500%に加えて購入した200%を合わせて、合計で容積率700%までの建物を建築することが可能になります。この方法を使えば、指定容積率の制限を超えるような高層ビル等の建築が可能になります。

余剰容積率の移転がある場合の相続税評価について

余剰容積率の移転がある場合の相続税評価については、相続税算定のための財産評価に関して国税庁が示した基準である相続税財産評価基本通達に、その方法が示されています。
以下では、余剰容積率を移転した宅地の場合とその移転を受けた宅地の場合に分けて、その評価の方法について解説します。

余剰容積率を移転した土地の相続税評価額について

余剰容積率を隣接地土地所有者に移転した土地を相続する場合があります。一般的には、この場合、そう相続した土地には、余剰容積率移転契約で定めた容積率を超える建物を建築しないという条件が付いた区分地上権が設定されていますので、余剰容積率の移転がない土地に比べて、その土地の相続税評価額が下がります。

相続税財産評価基本通達第2章第2節(23)によりますと、余剰容積率を移転した宅地の評価は、通常の宅地の相続税評価に、1から区分地上権設定直後の宅地の通常の取引価額に対する区分地上権設定に当たり宅地所有者が受け取った価の金額割合を減じた数値を、乗じた金額となります。

例えば、余剰容積率を移転した土地の相続税評価額が15億円、余剰容積率の移転のための設定した区分地上権の対価が1億円、余剰容積率移転直後の土地の通常の取引価額が20億円とすると、余剰容積率を移転した土地の相続税評価額は15億円×(1-1億/20億)=
14億2千5百万円となります。

余剰容積率の移転を受けた土地の相続税評価額について

一方、余剰容積率の移転を受けた土地の相続税評価額は、余剰容積率の移転を受けると、都市計画法によって指定された容積率を超える建物の建築が可能になりますから、その評価額は上昇します。

相続税財産評価基本通達第2章第2節(23)によりますと、余剰容積率の移転を受けた宅地の評価は、通常の宅地の相続税評価に、1に区分地上権設定直前の宅地の通常の取引価額に対する区分地上権設定に当たり宅地所有者が受け取った価の金額割合を加算した数値を、乗じた金額となります。

例えば、余剰容積率の移転を受け入れた宅地の通常の相続税評価額を15億円、余剰容積率の移転を目的とした区分地上権設定のために当該宅地の所有者が支払った金額が1億円、
区分地上権設定の直前の当該宅地の価額を20億円とすると、余剰容積率の移転を受けた土地の相続税評価額は、15億円×(1+1億円/20億円)=15億7千5百万円となります。

チェスター相続クラブ

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