換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理

農地を相続した相続人が農業を営む一定の場合には、農地に係る相続税の一部の支払いが猶予されます。この猶予は、対象となる農地を宅地に転用した場合には取消されますが、一定の要件を満たした転用(特定転用)の場合には、猶予は取り消されません。では、納税猶予の対象となる農地について、土地区画整理事業の換地処分により特定転用を行い、換地処分により清算金が支払われる場合には、納税猶予の適用はどうなるのでしょうか?以下では、この問題について解説します。

国税庁の質疑応答事例について

この問題については、国税庁の質疑応答集に「仮換地が指定されている相続税の納税猶予の特例を受けている農地等について特定転用を受けた者が、その後の換地処分により清算金の交付を受けた場合の猶予期限の確定処理」という事例があり、これにより国税庁の考え方が示されています。

照会の要旨について

相続税の納税猶予の特例の対象となる農地の所有者が、土地区画整理事業の換地処分により特定転用を行い、また、換地処分により清算金の交付を受けました。この場合、相続税の納税猶予の適用はどうなるのかという照会が、国税庁に対してなされました。

回答の要旨について

これに対して、国税庁では、次のとおり回答しています。まず、相続税の納税猶予の特例の対象となる農地が、換地処分により農地以外に転用される場合には、原則として、特例の猶予期限の確定事由に該当し、納税猶予制度の適用は終了し、猶予された相続税の支払いが必要になります。

ただし、換地処分による転用が、特定転用に該当する場合には、猶予期限は確定せず、
引き続き納税猶予を受けることができます。なお、換地処分により清算金を受けた場合には、猶予特例の対象農地のうち、(従前地の面積×清算金単価÷従前地の価額)の部分については、猶予期限の確定があったとみなされ、その部分については納税猶予が取り消されます。

質疑応答事例中の用語の解説について

上記の質疑応答事例の中では、様々な専門用語が使用されています。質疑の内容を理解するためには、それらの用語の正確な理解が不可欠です。よって、以下では、上記事例集で使用される専門用語の主なものについて、解説します。

猶予期限の確定処理とは

「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例」の対象となっている農地に、土地区画整理事業による換地処分を含む譲渡等があった場合、この特例による納税猶予を取り消すことを、猶予期限の確定処理と言います。

猶予期限の確定処理が行われるのは、特例対象の農地に譲渡があった場合の他、以下の事由などが該当し、これらに該当した場合にも、確定処理が行われます。
 ・農業経営を廃止した場合
 ・3年ごとに提出が義務付けられている継続届出書の提出をしなかった場合
 ・一定の農地について生産緑地法の規定による買取りの申出があった場合

特定転用とは

特定転用とは、納税猶予特例の対象となる特定市街化区域内にある一定の農地を、特定の法人に貸付ける目的の賃貸用共同住宅の敷地として、又は、自ら賃貸する目的の賃貸用共同住宅の敷地として転用することをいいます。

一般的には、特例の対象となる農地を転用した場合には、猶予期限の確定処理を行います。しかし、特定転用に該当する場合には、確定処理を行わず、納税猶予の特例を転用後も継続して受けることができます。なお、猶予期限の継続のためには、特定転用について税務署長の承認を受けることが必要です。

換地処分による清算金とは

換地処分による清算金とは、土地区画整理事業に提供した土地の価額と、換地処分により割り当てられた土地の価額が異なる場合に、その差額を清算するために、土地提供者に対して支払われる(徴収される)金銭のことをいいます。

換地計画とは、土地区画整理法に定める換地計画等に従い、土地区画整理事業に提供した従前の土地の所有者に対し、その対価として、別の土地や金銭を割り当てることをいいます。

チェスター相続クラブ

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