配偶者へ無税で贈与
20年以上婚姻期間が継続した夫婦間で、居住用財産を贈与した場合には、一定の要件を満たすと、基礎控除額の110万円以外に、最高で2,000万円までの贈与が非課税になります。この制度のことを「贈与税の配偶者控除」といいますが、以下では、これについて解説します。
贈与税の配偶者控除とは
婚姻期間が20年以上ある夫婦の間で、居住用の不動産又は居住用の不動産を取得するために金銭等の授受が行われた場合、基礎控除の110万円の他に、最高で2,000万円まで、贈与税が課税されないという制度があります。
この制度のことを「贈与税の配偶者控除(通称:おしどり贈与)」といい、相続税法第21条の6がその根拠法令となります。この制度を利用すれば、居住用財産に限りますが、まとまった財産を配偶者に無税で贈与することができます。
一般の贈与税額の税率は、1,500万円超3,000万円以下の場合、50%(控除額250万円)とされているので、仮に配偶者控除の適用を受けないで2,000万円の贈与を行った場合には、(2,000万円-110万円)×50%=945万円、945万円-250万円=695万円の贈与税がかかります。しかし、この配偶者控除の適用を受ければ、その金額は0円となります。
贈与税の配偶者控除の要件について
贈与税の配偶者控除を受けるためには、まず、婚姻期間が20年以上継続した夫婦間の贈与である必要があります。また、贈与対象財産は、居住用不動産であること、又は、居住用不動産を取得するための金銭である必要があります。よって、それ以外の財産の贈与には、通常通り贈与税が課税されます。
さらに、贈与があった年の翌年の3月15日までに、贈与を受けた配偶者が贈与を受けた居住用財産に実際に居住している、又は、贈与を受けた金銭で購入した不動産に実際に居住していることが必要です。なお、この贈与税の配偶者控除の適用は、一生に一度しか利用できません。
贈与税の配偶者控除を受けるための手続きについて
贈与税の配偶者控除を受けるためには、贈与のあった年の翌年の3月15日までに、贈与税の申告を行わなくてはなりません。配偶者控除の適用を受ければ贈与税が無税になるからと言って贈与税の申告を行わないでいると、配偶者控除を受けることができなくなるので、注意しなくてはなりません。
なお、贈与税の申告の際には、次のような書類も申告書と一緒に提出する必要があります。
・贈与のあった日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本
・贈与のあった日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票
・居住用財産の登記事項証明書
・居住用財産に住んだ日以後に作成される住民票
・贈与財産が居住用不動産である場合には、その固定資産評価証明書
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