推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理

原則として被相続人の一親等の血族や配偶者には相続権があり、法定相続人になりえる相続権があります。しかし、特定の理由により裁判所へ申し立てることで、それら相続人になりえる人たち推定相続人から相続権を奪う「推定相続人の廃除」を行うことが可能になっています。

ただし「推定相続人の廃除」については、裁判所が慎重に審理を行いますので、時間がかかってしまいます。そのため、もし審理中に被相続人が死亡して相続が開始された場合、審理中の推定相続人を相続人として扱うべきなのか、相続人ではないと扱うべきなのか難しく、どちらにしても問題が起こる可能性があります
そのため、民法895条では、遺産の管理に必要な手段を講ずることができると規定されているのです。詳しく説明していきましょう。

1.推定相続人の廃除

「推定相続人の廃除」は、被相続人が生前に家庭裁判所へ申し立てるか遺言書に遺すことで(遺言書に遺す場合は、遺言執行者が裁判所へ申し立てます)相続権を持つ可能性のある推定相続人から、相続権をすべて剥奪することができる制度です。

(1)推定相続人の廃除の条件

もちろん被相続人の好き勝手に推定相続人を廃除できるものではありません。「推定相続人の廃除」を申し立てるためには、以下の2つの条件を満たしておく必要があります。

1.廃除の対象は、以下の条件を満たしていること
・遺留分が認められている被相続人の推定相続人である
・遺留分を放棄した者ではない
・被相続人の兄弟姉妹ではない

2.排除の理由が以下のいずれかであること
・被相続人を虐待した
・被相続人に重大な侮辱を与えた
・推定相続人に著しい非行(浪費を繰り返すなどの客観的で重大な理由)があった

(2)廃除の効果

推定相続人の廃除が確定すると、対象の推定相続人は遺留分を含めてすべての相続権を失います。ただし、廃除の効果はその本人のみに及ぶもので、子や孫には及びません。そのため、代襲相続することが可能になっていますので、相続人の人数などを間違えないようにしなければいけません。

2.推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理

被相続人が生前に「推定相続人の廃除」の請求を行っていたが、審理中に相続が開始された場合、廃除請求の対象となる人を相続人とすべきかどうか判断できません。また、遺言書に廃除の記載があった場合も同様です。
どちらの場合でも、廃除請求されている相続人を仮に相続人と仮定して相続処理を進めると、もし廃除が確定するとすべてを巻きなおして手続きする必要があります。また、もしその推定相続人が一時的にでも相続したことになった財産を第三者へ譲っていた場合は、より問題が複雑化するでしょう。
もちろん、逆に廃除請求されている相続人を相続人ではないと仮定していた場合でも、同様に混乱を招き、法廷闘争に発展する可能性もあります。

そのような事態を未然に防ぐため、民法895条では、以下の申立人の申し立てがあれば、「推定相続人の廃除」の審判が確定するまでの間、家庭裁判所が相続財産管理に必要な処分を講じることができるようになっています。

・親族 …………… 被相続人の親族
・利害関係人 …… 相続債権者や受遺者、遺言執行者など
・検察官

処分としては、一般的に「相続財産管理人」を選任することで行われているようです。その場合、審理の対象である推定相続人だけではなく、その他の相続人であっても、相続財産の管理や分割はできなくなってしまいますので、財産が保護されることになります。

【参考URL】
民法895条

チェスター相続クラブ

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