同時存在の原則と民法における代襲相続人の相続分
相続が開始し相続財産を引き継ぐ者は法定相続人ですが、必ず相続が開始した時に相続人は存在してなくてはなりません。これを相続人の同時存在の原則と民法では言っています。
1.相続人の同時存在の原則とは
相続が開始すると、亡くなった人(被相続人)の権利義務を含めたすべての財産が、相続人へと引き継がれます。ところが、このことには前提として、相続が開始した時に相続人が存在していなければならないという同時存在の原則があります。したがって、相続開始時に被相続人と相続人が同時に存在していなければ、権利義務が相続人へと引き継がれることはありません。
例えば、甲には妻の乙と子の丙がいたとします。本来であれば甲の相続人は乙と丙ですが、甲が亡くなっていた時に乙が既に亡くなっていたとします。このような場合には、乙には相続が発生しなしのです。
2.同時存在の原則にも例外がある
相続の場合では被相続人と相続人が同時に存在するのが原則ですが、例外となる場合もあります。例えば、胎児についての取り扱いです。
胎児というのは,母親の胎内にいる間は、法律上は「人」として扱われません。そのため、相続が開始した時にまだ胎児だと同時存在が認められず相続人として扱われることはありません。
ところが、民法は「胎児は,相続については,既に生まれたものとみなす」として、相続についてだけ例外的に胎児を法律上の「人」として扱っています。
したがって、胎児が母親の胎内にいるときに相続が発生したとしても、出生した後で相続財産を引き受けることができます。
3.代襲相続人の相続分について
(1)代襲相続
代襲相続とは、被相続人が亡くなるよりも前に相続人が亡くなったため、その相続人の直系卑属が相続するという制度です。代襲して相続される被相続人の子のことを被代襲者、代襲して相続する者のことを代襲相続人といいます。
被代襲者はだれでもなれるわけではなく、次の者に制限されています。
①被相続人の子
②被相続人の兄弟姉妹の子
なお、配偶者と直系尊属は代襲されることはないので注意しましょう。
【具体例】
Aには子Bがいるため、A死亡の場合には相続人はBがなるはずでした。ところが、Aよりも先にBの方が亡くなるということもあります。このような場合には、Bに子供がいるとその子が代襲相続人となります。
(2)代襲相続人の相続分
代襲相続人の相続分について、具体例で考えてみましょう。
Aが亡くなり相続財産が2000万円、相続人であるはずのBとCのうちBがAよりも先に亡くなったとします。BにはDとEの2人の子がいます。したがって、Cは相続人、DとEは代襲相続人となります。
このような場合、各相続人の法定相続分は次のように計算されます。
C・・・2000万円×1/2=1000万円
D・・・2000万円×1/2×1/2=500万円
E・・・2000万円×1/2×1/2=500万円
4.再代襲相続は認められるのか?
代襲相続は孫がいるばあいには当然認められるのですが、代襲者である孫までが亡くなっていた場合にもさらなる代襲相続が認められるのかという問題があります。これを再代襲相続といいますが、孫の子である曾孫が代襲できるとされています。なお、兄弟姉妹が相続する場合には再代襲はできないため、甥や姪の子の代襲相続はありません。
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