単純承認の効力

相続人の選択肢と単純承認の効力

相続が開始されると、相続人には三つの選択肢が与えられます。すなわち、相続放棄により相続そのものを拒否するか、限定承認をするか、単純承認をするかを選択することができます。
相続の原則的な形態は単純承認であり、単純承認の効力として無限に被相続人の権利義務を承継することになります。民法上、相続放棄も限定承認もしなければ単純承認になります。
この民法の構造を見ると、単純承認は不作為に対して与えられる法定の効果のようにも思われますが、民法上承認を意思表示であると考えている規定も見られますので、単純承認は承認の意思表示の効果なのか、法定の効果なのかという争いがあります。
相続放棄や限定承認をできる期間内に何もしないことによってもたらされる単純承認の効果を、意思表示の効果として説明することには無理があり、法定の効果という側面があることは否定できません。
そこで、単純承認を法定の効果と結び付けて考えるのが多くの支持を集めています。借金が多くて相続財産がマイナスになっているおそれがある場合には、とりあえず相続財産限りで債務を清算し、なおプラスの財産があれば承継するという限定承認の方が選択肢として優れています。
しかし限定承認は手続が煩瑣なこともあって、ほとんど利用されていません。
ほとんどの相続の場面では相続放棄か単純承認が行われています。ただし以上のように、単純承認は無限定で被相続人の積極財産と消極財産を承継することになるため、慎重に行う必要があります。

(単純承認の効力)
第920条
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

チェスター相続クラブ

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