公告期間満了前の弁済の拒絶
『公告期間満了前の弁済の拒絶』とはどんなものか
遺産相続を行う際に、もっとも不安な要素となるのが債務の問題です。
相続によって得るのは利益だけではありません。時には被相続人の債務まで負わねばならない場合も出てきます。そんな時に、相続で得る財産よりも債務の方が大きい場合には、自分自身の財産でそれらの債務を返済しなければならないことになってしまいます。
そして、債務の程度と財産の程度がどれくらいのものになるのかは、そう簡単に把握できるものとも限りません。不動産の時価を割り出さねばならない時もありますし、売却価格が決まるまでは債務の方が大きくなるかどうかが判別できなくなるという状況が発生します。
そんな状況で便利なのが限定承認という制度です。
限定承認をした場合、相続債務の弁済責任は、被相続人の財産の範囲内に限定されます。これならば相続した財産の中でのみ債務を弁済すればいいことになるので、被相続人の財産と債務の内訳が不明な場合にとても便利なものとなります。
限定承認をする場合には、いくつかの規則があります。
まずは限定承認の申請。そしてその申請が受理されてから五日以内に公告を行うことになります。
二か月以上の期間を取って公告を行い、被相続人の遺産に対する債権者や受遺者がいるならば、その債権額を申し出てくれるように請求することになります。それによって、遺産に対する債権者や受遺者が限定されるようになります。
しかし、公告期間が満了するまでは相続にまつわる債務の全体が見えないという状態になります。そういう期間であるにもかかわらず、既に名乗り出てきた債権者などに弁済を求められてしまうと、不安定な状況に追い込まれることになってしまいます。
そうしたことを避けるために、設けられているのが『公告期間満了前の弁済の拒絶』の制度です。この公告期間が満了する前ならば、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができるという権利が認められているのです。
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