公告期間満了後の弁済

 相続財産に債務が含まれている場合、相続人は単純に財産を相続することをせず、「相続放棄」もしくは「限定承認」を行うことができます。「相続放棄」ではプラスもマイナスも含めてすべての相続の権利を放棄することになるため、もし住んでいる家などの手放したくない相続財産があった場合は、「限定承認」を選択することになるでしょう。
「限定承認」は、相続した財産の範囲内で債務を弁済することで、それ以上の債務を帳消しにするものです。(家を残しておく場合は、その家の価値相当の金額を他から調達しなければいけません)

 しかし、当然ながらこの制度で弁済するには一定のルールがありますので、それに従わなければいけません。
 詳しく解説します。

1.限定承認

 まず、限定承認の手続きについて、整理しておきましょう。
 「限定承認」は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをすることで行うことができます。そして、家庭裁判所で申し立てが受理された場合、以下のような手続きが行われます。

家裁の受理
  ↓
限定承認の公告 …… 「一定の期間内に債務の請求の申し出をすべき」旨を官報に公告します。すでに分かっている債権者については請求申し出の催告をします。(なお、この期間中に弁済を迫られたとしても、拒むことができます)
  ↓
相続財産の管理・換価 …… 公告期間中、相続した財産は適切に管理し、順次お金に換えていきます。
  ↓
弁済

 この手順の後、残った財産についてそのまま相続することになります。

2.公告満了後の弁済

上記の手順で公告期間が満了した後、相続した財産から債務を弁済していくことになります。
しかし、限定承認の場合、弁済する金額は相続した財産の金額までで良いので、債権者が複数存在した場合は、すべての債権者に完済することができず、収拾がつかなくなってしまいます。

そのため、民法第929条で、「債権者に対して公平に弁済すること」が定められています。
つまり、債権者への弁済については、それぞれの債権者の債権額の割合に沿った金額を弁済しなければいけないわけです。(このとき、弁済する相手は公告期間中に申し出て来た債権者だけになります)

(1)優先権を有する債権者の権利

 ただし、民法929条では、同時に「優先権を有する債権者の権利」についても守るべきという規定があります。
 「優先権を有する債権者の権利」というのは、例えば、抵当権で担保されている債権があたります。このような権利をもっている債権者に対しては優先して弁済しなければいけません。

(2)期限前の債務などの弁済

 また、公告期間満了時に、まだ弁済期に至っていない債務があった場合でも、弁済を行う義務がありますので、このような債権の債権者へも公平に弁済しなければいけません。
 なお、一定の条件が付いている債権など、公平に弁済するにあたって債権額を特定しにくいものについては、家庭裁判所が選任した鑑定人が評価することになります。

(3)債権者と受遺者の優先順位

 受遺者に対しても債務を弁済しなければいけない場合もあります。しかし、まずは債権者への弁済が優先されますので、注意しなければいけません。すべての債権者へ弁済した後、受遺者への弁済を行うことになります。

・参考URL
http://chester-tax.jp/dictionary/dic13_044.html

チェスター相続クラブ

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