財産分離の効力
財産分離の効力と債権者の保護
財産分離は債権者の利益のための制度であり、被相続人に対する債権者と相続人に対する債権者の利益のための制度が用意されています。
まず、被相続人に対する債権者は、相続開始時から3か月以内または相続人の固有財産と混合しない間は第1種財産分離を家庭裁判所に請求することができます。
この場合、財産分離の効力として、相続財産は相続人の財産と区別され、被相続人の債権者は相続人の債権者に優先して相続財産から弁済を受けることができます。優先弁済を受けても債権全額の満足が得られなかった場合には、相続人の固有財産にかかっていくことができます。
ただし、この場合は逆に相続人の債権者に劣後することになります。
次に、相続人の債権者は相続人が限定承認をすることができる間または相続財産が相続人の固有財産と混同しない間は、第2種財産分離を家庭裁判所に請求することができます。基本的に手続は第1種財産分離と同様で、債権全額の満足を受けられなかった債権者は相続人の固有財産にかかっていくことができます。
このように財産分離は債権者の利益を保護するために設けられた制度ですが、近年はそれほど利用されていません。相続財産と相続人の固有財産を分離して混同をさけることが目的であるならば、相続人の固有財産にかかっていくことを禁じるべきで、財産分離の効果は徹底していません。
また、財産分離の手続もそれほど整備されていないため、利用者数は減少傾向にあります。
(相続財産分離の効力)
第942条 財産分離の請求をした者及び前条第2項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先だって弁済を受ける。
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