不動産についての財産分離の対抗要件

相続というのは、財産も債務も両方とも譲渡されるものです。そのため、相続して自分の債務(借金)が相殺されることや、相続した結果大きな債務を負うことがあります。こういった相続財産と相続人固有の財産がまざってしまうことを、財産の混合と呼びます。
 しかし、そんな財産の混合が起こってしまっては、都合の悪い人たちもいます。

 たとえば、被相続人にお金を貸している被相続人の債権者は、被相続人の財産で債権を回収しようと考えます。そのため、相続人に大きな借金があって財産が相殺されてしまっては、債権が焦げ付きます。
 同様に相続人の債権者も、相続人が大きな債務を相続することで相続人に返済能力がなくなってしまっては、債権回収が難しくなります。

 そういった場合に、債権者は財産分離の請求を行うことで財産が混合しないようにして、不利益を最小限に防ぐことが可能になっているのです。

財産分離

 財産分離というのは、相続した財産と相続人個人の財産を分けて管理するということです。

 上述した債権者や遺言によって遺産を譲渡されるはずの受遺者が、自らの権利を守るために、裁判所へ財産分離請求を申し立てることによって、相続人には財産分離の義務が生じます。

 具体的には、相続人は相続した財産を自分の固有の財産とは分離して管理し、債権者や受遺者に対する清算を行うために使用する義務を生じるのです。もちろん、相続した財産で債務を清算しきれなければ、自分の固有財産から清算しなければいけません。

 なお、被相続人の債権者や受遺者から申し立てられた財産分離請求を第一種財産分離、相続人の債権者から申し立てられた場合は第二種財産分離と呼びます。

不動産についての財産分離の対抗要件

ただし、もしそ相続人が財産分離請求の前に財産を処分してしまうと、その処分した財産は分離対象に含まれなくなります。そのため、債権者や受遺者は、相続人が処分を始める前に財産分離の請求を行わなければいけません。

 ただし、動産については、民法192条で「第三者が即時取得しない限り、債権者が財産分離の効果を主張できる」ことになっていますので、相続人が財産分離請求前に動産を処分していたとしても、第三者がすぐにその動産を取得していなければ、財産分離の対象になってしまいます。また、未取得の代金などがあれば、それを財産として分離することができるのです。

 また、仮に財産分離請求を早急に行ったとしても、不動産についてはそれだけでは財産分離を主張することができません。民法945条によれば、「不動産の財産分離は、登記をしなければ第三者に対抗することができない」とされているからです。

 そのため、財産分離の請求に引き続いて、「処分の制限」の登記を別に行わなければ、債権者は第三者に対してその不動産が財産分離の対象だと主張できないことになっています。もちろん、処分した先の第三者が先に登記してしまうと、どうしようもなくなってしまいます。

 不動産を含む財産について財産分離請求をする場合は、忘れずに処分の制限の登記を行いましょう。

チェスター相続クラブ

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