相続人の債権者の請求による財産分離
相続人の債権者の請求による財産分離について
相続人は相続が開始すると同時に、相続財産の一切の権利と義務を受け継ぐことになります。相続財産が全てプラスのものであれば、単純に相続すれば済む話なのですが、これが借金ばかり残している被相続人だったとすれば、相続人は困ってしまいます。
そこで法律は一度相続した財産がもたらす効果を踏まえ、承認するか放棄するか、自由に決めることが出来るようにしています。
しかしプラスと思って単純に相続した後で新たな被相続人の借金が発覚したときに、相続人の固有の財産から支払わなければならなくなるという理不尽も生まれてしまいます。このようなケースに相続人固有の財産を守るため、相続した財産の中で弁済するという、限定承認という形もあります。
また相続財産がプラスであったとしても、被相続人が自己所有の財産以上の債務超過の状態に陥っていたら、そのことでも相続債権者や受遺者に不利益が生まれることも考えられます。それらに考慮し、相続財産と相続人の固有の財産とをきちんと分けるという財産分離の制度が出来ました。
相続開始後に、相続人の債権者や相続債権者また受遺者などから、家庭裁判しに対し財産分離の請求を行えるのです。
相続財産を相続人固有の財産から離して管理や精算を行うことで、請求者の権利が守られるということになります。これが定められたものが、民法第950条です。
この財産分離は限定承認とは違い、相続財産の範囲を相続債務が完済されなかった時には、相続人はその固有財産から弁済する必要があります。相続人は被相続人の債務に不安があり、自らの債権の問題がない限り、通常は限定承認となります。
相続相続人の債権者の請求による財産分離)
第950条
1.相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる。
2.第304条、第925条、第927条から第934条まで、第943条から第945条まで及び第948条の規定は、前項の場合について準用する。ただし、第927条の公告及び催告は、財産分離の請求をした債権者がしなければならない。
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