相続財産の管理人の選任
1.相続財産の管理人は家庭裁判所で選任します
相続をする場面では、いろいろな問題が出てきます。それをつかさどる役目が相続財産管理人です。相続を公平にスムーズに済ませるためには、的確に管理、処理をしていく人が必要です。
通常ですと相続人の中で解決していくのですが、相続人の所在が不明だったり、相続人全員が相続を放棄したりして結果として相続する者が居なくなるなど、相続人がいないことが明らかでない場合があります。被相続人の戸籍・除籍・原戸籍を確認しても、正式な相続人が見つからない場合、家庭裁判所が申し立てを受け、相続財産管理人を選定します。
相続財産管理人は個人の債務などの整理、処理を行い、残った遺産を国庫に納めることが業務です。この相続財産管理人は特に資格などはいりません。誰にでも選任される可能性はあります。しかし、実際は法律の専門家などが選ばれることが多いです。
相続財産の管理人の選任は、まず利害関係者や検察官が家庭裁判所に申立てすることから始まります。そこから家庭裁判所が相続財産管理人を選定したことを公告します。そこから故人の債務者、さらには相続人がいなか、公告をして確認します。公告は刊行物「官報公告」やインターネットでも確認することができます。
「相続権主張の催告」は6ヶ月以上の期間を定めて公告されますが、この期間内に主張しないと、相続人・債権者・受遺者は権利を失ってしまいます。
相続人がいないと確定したら、「特別縁故者に対する財産分与の申し立」を開始します。特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた人や、療養看護に努めた人、特別な縁故があった人で、家庭裁判所は審判申立書や調査官による調査結果をもとにその相続財産分与の正当性を判断します。
その後、相続財産管理人は債務を支払ったり、遺産を特別に贈与する人への手続きをしたり、訴訟や残余財産を国庫へ納める処理をしたりします。債権が存するか争う訴訟や、相続人を公告で探すにも時間をかけますので、長い期間かかる責任の思い役目となります。このように家庭裁判所から適任だと判断された人が、慎重に丁寧に相続財産を扱っていく、相続に欠かせない存在です。
2.相続財産の管理人の報酬
相続財産管理人の報酬は、遺産の中から支払われます。遺産の中から相続財産管理人の報酬が支払えるか不明なときは、家庭裁判所から報酬の一部を予納するよう命じられる場合もあります。
しかし、遺産では不足する場合には、申立人から支払ってもらうことになります。
相続財産の管理人の選任)
第952条
1.前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2.前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
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