不特定物の遺贈義務者の担保責任

被相続人が遺言書を遺していた場合、遺言書に書かれている通りに遺産が引き渡されます。そうすることで、法律上は法定相続人に渡る遺産が相続人ではない人に渡されることもあるのです。このとき、すぐにその遺産を渡すことができない場合などは、相続人が一時的にその財産を管理して遺言書に書かれた通りに引き渡す義務があります。

しかし、もしその遺産がすでに処分されていた場合は、どうなるのでしょうか? 詳しく解説していきます。

1.用語の説明

 遺言書を巡る相続についての法律には、聞き慣れない用語や通常とは違う使い方をする用語があります。まずは、ここで使用するそれらの用語について説明します。

・遺言者 …………… 遺言をした人。相続における被相続人にあたります。
・遺贈 ……………… 遺言者の死後、遺言に従って遺産を引き渡すことです。
・受遺者 …………… 遺産を遺贈される人。遺言書に記載する受遺者は相続人である必要はなく、制限はされていませんので、相続人以外の知人、法人などに遺贈することもできます。
・遺贈義務者 ……… 遺産を受遺者に遺贈する義務を負う人のことです。基本的に法定相続人がなります。
・不特定物 ………… 不動産のように特定固有のもので、代替が効かないようなものではなく、農作物や商品(リンゴ10トンやお酒10本など)のように他の同様の農作物や商品で代替が効くもののことです。
・目的物 …………… 対象となる物のことです。
・瑕疵担保責任 …… 売買などで給付した目的物に欠陥があった場合に、給付した人が負う責任のことです。
・追奪担保責任 …… 移譲した権利に欠陥があった場合に、移譲した人が負う責任のことです。

2.遺言とは

そもそも、遺言書はどの程度の効力を持っており、実際に遺言書に記載された内容を、誰が実行するのでしょうか? 解説します。

(1)遺言書の効力

遺言書がある場合、遺言者の死後、遺産は遺言書の通りの贈与が行われます。それは法定相続分とは違った遺産分割であったり、法定相続人以外の人や法人へ遺産を遺贈したりすることも可能です。相続処理は遺言で処理されなかった財産について行われるため、原則として遺産は遺言書の通りに引き渡されることになります。

(2)遺贈義務者の義務

遺贈を行うに当たって手続きや引き渡しを行う必要があるなど、すぐに遺贈ができない場合は、遺贈義務者はそれまでの間、遺贈する目的物や権利を管理しなければいけません。

3.遺贈する目的物や権利に問題がある場合

原則として、遺贈するべき土地や美術品などの目的物が、遺言者によって処分されていた場合などで、存在しない場合、その遺贈は無効となります。しかし、そうならない場合があります。

(1)遺言者が特別な指示を遺していた場合

遺言書に「目的物を取得して遺贈する」旨の記載があった場合、遺贈すべき目的物などが相続財産の中になくても、遺贈は有効となり、遺贈義務者はそれに従わなければいけません。

もし、目的物が火災で焼失されたなどで取得不可能な場合や、非常に多額の代金を要求されるなどで取得に過分な費用が必要な場合には、目的物の時価相当額を弁済することで、遺贈を行うことになります。

(2)不特定物の遺贈の場合

遺贈する目的物が不特定物だった場合、遺贈すべき目的物や権利が相続財産の中になくても、遺贈は有効となり、遺贈義務者は何らかの方法で目的物や権利を取得して遺贈しなければいけません。

また、遺贈義務者は遺贈する目的物や権利についての瑕疵担保責任と追奪担保責任を負います。そのため、遺贈した目的物や権利について問題があった場合、遺贈義務者は代替の目的物を取得して受遺者に渡すなどの対応を行わなければいけません。

もし、遺贈義務者が担保責任を果たさなかった場合、受遺者は遺贈義務者に対して損害賠償請求を行うことができます。

・参考URL
http://chester-tax.jp/dictionary/dic13_112.html
http://www8.plala.or.jp/daisho/sozoku/igon-kouryoku8.htm

チェスター相続クラブ

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