委任の規定の準用
法律の準用
法律の「準用」とは、あることに関する規定を、別の類似したことについても必要な修正を加えてあてはめることを意味します。性質が類似している事柄には準用を使うことによって、同じような条文を作る手間が省けます。
似たような用語に「適用」がありますが、適用は条文そのものをあてはめることです。また「類推適用」といって、法律上の条文には明示されていない部分について解釈によって法律を適用することがありますが、準用では条文に明示されているという違いがあります。
遺言執行者についての準用
民法には多くの準用規定がありますが、なかでも委任の規定はいくつもの条文で準用されています。ここで取り上げる民法第1020条は遺言執行者について定めたものですが、第654条と第655条の規定を準用するとされています。第654条は委任の終了後の処分、第655条は委任の終了の対抗要件を定めたものです。
遺言執行者の任務が終了した場合とは、遺言失効の終了、遺言執行者の辞任や解任、あるいは破産手続開始決定を受けたり、死亡したりした場合が考えられます。遺言執行者の任務はその時点で終了しますが、終了と同時にすべての権限がなくなってしまうと、それによって何らかの損害が発生することがあるかもしれません。ですから、委任が終了したときには、緊急処分を行うことと、委任が終了したことを相手方に通知するまでの任務継続義務が準用されることになります。
遺言執行者の役割
遺言執行者とは、遺言をした被相続人の遺言を実現するために指定された者です。遺言の内容によっては、相続人の廃除や遺贈の実現など、強力な権限を持ち、相続人と対立することもあります。遺言書で遺言執行者を指定しておくこともできますが、遺言執行者になるかならないかは本人の自由です。
(委任の規定の準用)
第1020条
第654条及び第655条の規定は、後見について準用する。第654条(委任の終了後の処分)
委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。第655条(委任の終了の対抗要件)
委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
キーワード検索
入力されたキーワードに一致した記事を検索できます。