受贈者の無資力による損失の負担
受贈者の無資力による損失の負担とそれに関わる周辺知識についての解説
受贈者の無資力による損失の負担とは、受遺者や受贈者の弁済能力がない場合についての条文です。受遺者や受贈者が相続によって取得した財産を処分して、なおかつ固有の財産もない場合、遺留分の侵害となります。
遺留分とは、簡単に言うなら、被相続人の兄弟姉妹以外の最低額の相続財産の割合という意味です。遺留分権利者とは、最低限の相続財産を取得出来る権利を持っている人といったところです。
遺言に被相続人が兄弟姉妹以外に遺産を相続させる事を記したとしても、あまりに一般的な遺言の範囲内を超えていると、遺留分権利者が滅殺請求を行い、その遺言の効力を無効とまでは言いませんが、ある程度効力を失わせる事ができ、結果最低限度の相続財産を受け取る事が出来るケースもあります。
この条文では、受遺者が相続財産を処分して、固有に持っている財産も無く、弁済能力がない状態ですから、少し特殊なケースと言えるかもしれません。
この場合、遺留分権利者が滅殺請求を行なっても、例外を除いて滅殺請求が認められないというのが条文の内容です。これは受贈者についても同様です。
ではこのケースでの例外について触れますと、受遺者、受贈者が遺贈財産や贈与財産を第三者に譲渡して、譲渡された第三者に悪意がある場合、例外となります。
悪意とは第三者が遺留分権利者の権利を侵害すると把握して譲渡を受けた場合です。遺留分滅殺請求が行われた後に遺贈財産や贈与財産を処分しようとしたケースについても同様に例外となります。
受遺者や受贈者側にも権利がありますが、遺留分権利者にも財産を取得する権利があります。
しかし、遺留分権利者の度を越した権利の主張は出来ません、といった事がこの条文で理解出来るはずです。贈与や相続は揉め事が多いので、事前に身内、親族でしっかり話し合っておくよう心がけましょう。
(受贈者の無資力による損失の負担)
第1037条
減殺を受けるべき受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。
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