被後見人の遺言の制限
被後見人の遺言の制限
被後見人の遺言の制限は、後見人の計算が終わる前に、後見人やその配偶者、もしくは直系卑属といったものが利益を得るような遺言をされていた場合に、この遺言自体が無効となるということを指しています。
この後見人の計算とは、後見事務が終わったときに就任してから任務が終わるまでの収入支出の計算のことです。
未成年被後見人であれば結婚をしたり、成人となったり、また親族が現れた場合には後見人の任務は終了しますし、後見人が交代する場合にも、前任者の任務は終了します。
また被後見人の能力が回復した場合にも、後見人の任務は終わることでしょう。
この時点で計算を行い、本人、または後任の後見人がいる場合にはそちらに、この計算の報告を行わなければなりません。
この諸作業が終わる前に後見人やその配偶者、もしくは直系卑属といったものが利益を得るような遺言をされていた時には、この遺言自体が無効となるというのが、被後見人の遺言に課せられた制限となります。
後見が続いている状態もしくは計算前では、どのような不正が行われていたかも誰も知り得ることが出来ない可能性が高いでしょう。
後見人は、いくらでも自分に有利に不当利益を得ることが出来る立場にありますので、このような制限が設けられたのです。
しかし後見人が被後見人の配偶者や直系血族、兄弟姉妹といった立場であれば、この制限は適用されません。
不当な遺言を作成せずとも、もともと推定相続人である可能性が高く、計算前であっても被後見人に意思に反するという不利益は生じ難いと考えられているためです。
(被後見人の遺言の制限)
第966条
1.被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2.前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。
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