成年被後見人は遺言を作成することができるか?

成年被後見人の意思能力.

共成年被後見人とは「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」(民法7条)で家庭裁判所によって後見開始の審判を受けた者です。実際には認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力がなくなっているような状態です。

このような状態の人が財産の処分や契約などをできると、判断能力の低下を悪用して財産を奪ったり、高価で不要な物を買わされたりする危険があります。そのために成年後見人が本人に代わって法律行為などを行うことになっています。そのため、通常の契約や財産の処分などを成年後見人が行うことは可能ですが、遺言に関しては身分行為であり、本人しかできません。

遺言は相続という大きな財産の処分行為です。通常の取引に比べても大きな財産の処分行為といえるでしょう。そのため、遺言書の作成にも厳格な形式が求められています。

遺言をするには何よりも意思能力が重要です。しかし、事理を弁識する能力とは、まさに意思能力のことなので、それが欠けた状態のままであれば遺言はできそうにもありません。

成年被後見人の審判を受けていなくても認知症などによって意思能力がない状態で作成した遺言には効力がありませんが、家族に意思能力があるのかどうかを判定することはむずかしく、遺言の内容によっては、それが有効かどうかを争うことになってしまうことも少なくありません。

しかし、成年被後見人だからといって、どんなときでもであっても判断能力がないわけではありません。一時的に事理を弁識する能力が回復することがあります。

成年被後見人の遺言が認められる条件.

そのように判断能力が一時的に回復した場合の遺言について、民法第973条の規定があります。それによると、医師2人以上の立ち会いがあれば遺言を作成できます。

作成された遺言書には、医師が「遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった」ことを付記したで署名押印します。秘密証書遺言の場合は、封紙にこの旨を記載して、署名押印を行います。

これらの手続きによる遺言の作成には成年後見人の同意も必要ありません。もちろん成年後見人が遺言を取り消すこともできません。現実的にこれらの条件を満たして遺言書を作成するのは簡単ではないことですが、まったく不可能というわけではありません。

第973条
1.成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時においてw:遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2.遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

チェスター相続クラブ

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