特定財産に関する遺言の執行
特定財産に関する遺言の執行とは
特定財産に関する遺言の執行とは、民法第1014条の規定によって、遺言によって、遺産のうち特定の財産を遺言執行者によって執行してもらうことを指定した場合に、遺言執行者の職務権限がその財産に限られることを明らかにしたものです。
遺言執行者の役目
特定の財産を遺言によって相続させることができます。例えば、複数の不動産を所有していた被相続人がその1つを誰かに遺贈するようなことを考え、その執行を指定した遺言執行者によって行うような遺言書を残したとしましょう。
その場合、その財産に関しての執行が終わると遺言執行者の役目は終わります。それ以外の財産については遺言の執行に関係ないので、遺言執行者の権限から除外され、通常の相続の手続きになります。
民法第1014条にある「前三条の規定」とは、遺言執行者が行う相続財産の目録の作成、遺言執行者の権利義務、遺言の執行の妨害行為の禁止ですが、これらは遺言執行者が特定の財産に関する遺言を執行する際にのみ適用されるということです。
特定財産の範囲
ここでの特定の財産というのは、複数ある不動産の中の1つというような特定物の遺贈による場合に限られません。相続財産の中で他の部分と区別できるような財産であれば当てはまるので、遺言によりすべての不動産を遺贈するというような場合でも、他の現金・預金などとは区別できるわけですから、特定財産と考えられます。
第1011条(相続財産の目録の作成)
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。第1012条(遺言執行者の権利義務)
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。第1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。第1014条(特定財産に関する遺言の執行)
前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
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