遺言執行者の地位
一般論として遺言執行者は、遺言者の意思である遺言書の実現するための一切の権利義務をもつ、固有の資格を持っているという考え方ですが、訴訟上では、遺言執行者と相続人が争うといった場合までも説明するために、訴訟担当として自己の名前で当事者になると考えられています。
このような解釈上の問題があることから、現状では色んな争いが起きてしまうことが多々あります。
1.遺言執行者の権限をめぐった紛争が起こうる
この紛争で最も多い問題は、遺言執行者がどのような立場で、不動産を遺贈により受けたと主張する「受遺者」と「相続人」との間で起こった紛争に、どういった立場で遺言執行者が間に入って関わるのがいいのかという問題です。
(1)相続人と遺言執行者どちらが被告適格を有するのか
今回の例で言うならば、遺贈により受けた不動産についての移転登記を受遺者側が相続人に対して要求したことに対し、遺言執行者が存在する場合の相続人側の主張は「遺言執行者のみが被告適格を有しているのであって、相続人側は被告適格を有さない」として、受遺者からの土地の移転登記の要求を避け続けるといった問題です。
しかしながら、民法上では遺言執行者は相続人の代理人とみなされるという規定がされており、相続人の代理人であるならば、相続人である本人が被告適格を有していないはずがありません。
(2)相続人側の主張
遺言執行者は遺言内容を実現するための必要な一切の行為をする権利義務があるということと、相続人には遺言の執行を妨げたり妨害したりする行為は一切できないということを理由に、「遺言執行者のみが被告適格を有している」としています。
しかしながら、そうなると相続人を代理する立場とはいえども、相続人に遺言執行者の行為が帰属するという事を説明する考え方に過ぎないということになってしまいます。
この紛争の様に、遺言執行者が相続人にとってただの代理人ではないのだとすると、遺言執行人の法的地位に関して、また別の争いが起こってくるということになります。このようにどのように遺言執行者が関わっていくべきなのかについては難しい問題点があります。
(遺言執行者の地位)
第1015条
遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。
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