前の遺言と後の遺言との抵触等
前の遺言と後の遺言との抵触等とは
前の遺言と後の遺言との抵触等は、前の遺言が撤回されたわけではなく、後の遺言があるという場合に何を優先すべきかということにも繋がります。
後の遺言の内容に、前の遺言の内容を撤回しなければ実現できないというものがある場合、これを「抵触した」といいます。
ひとつのものを前の遺言ではAに遺すとしていたのにも関わらず、あとの遺言ではBなる人物に遺すとしていたとします。
後の内容は重なった部分がなく、付け足しの遺言と考えられても、AからBに同じものを遺すと書いてあるのであれば、「AとBに遺す」という意味ではなく、Aに遺すことは撤回して、Bに遺す意志を表したと考えるのが自然です。
また生前処分によってすでに遺贈されるべき物が受遺者の手に渡っていると考えられる場合も、「抵触した」ということになります。
例えば愛人に対して金銭を遺すという遺言を書いていたとします。
その後存命中、愛人へ同額の贈与を渡し、愛人は「これ以上の金銭は要求しない」ということを約束した上で受け取っていたとします。
これであれば遺言にある金銭を受け取れないことはありませんが、遺言にある遺贈分を生前に受け取っていたと考えるのが順当です。
これは遺言後の生前処分に抵触することになりますので、撤回と同一のものと法的にみなすこととなります。
遺言の撤回などは実際に行われていないわけですが、事実関係から見て法律的な効果を与えているわけです。
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第1023条
1.前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2.前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
関連性が高い記事
カテゴリから他の記事を探す
キーワード検索
入力されたキーワードに一致した記事を検索できます。