複数の遺言がでてきた場合には後日付遺言の効力が強い!

遺言書の作成日付に注目

被相続人が亡くなった後に、複数の遺言書が見つかることは珍しくありません。それぞれの遺言が法的に有効な形式で作成されている場合、どちらの遺言も有効ですが、その内容によってさまざまな問題が起こる可能性があります。

先に書かれた遺言Aと、後に書かれた遺言Bがあったとしましょう。遺言Aでは土地や建物などの不動産についての相続について書かれ、遺言Bでは現金・預貯金などの金融資産についての相続について書かれていたとします。このような場合、遺言Aと遺言Bがそれぞれ有効なものとして扱っても問題ありません。

しかし、遺言Aでは、すべての不動産を長男Xに相続させる、と書かれていたのに、遺言Bでは、すべての不動産を次男Yに相続させる、と書かれていたらどうでしょうか。これは、同時には成立しない矛盾した内容の遺言だといえます。

このようなときにどうするかが、民法第1023条に定められています。このように内容が矛盾抵触する遺言の場合は、後の遺言が有効となります。ここででは、遺言Bの次男Yへの相続が有効だということになります。

自筆証書遺言と公正証書遺言の優劣

遺言にはさまざまな形式がありますが、公証人に作成してもらった公正証書遺言と、被相続人本人が作成した自筆証書遺言とで優劣があるのでしょうか。

どちらの場合でも、それぞれの遺言が法的に有効な形式で作成されているのなら遺言として同じ効力をもちます。つまり、自筆証書遺言と公正証書遺言の両方があるときにも、内容が矛盾抵触している場合には、日付が後のものが有効になります。

ただし、公正証書遺言は特別な手続きをしなくてもそのまま遺言として認められます。一方、自筆証書遺言など公正証書遺言以外の遺言については、家庭裁判所で検認手続きが必要になります。検認手続きは、裁判所が遺言書の状態を確認することで偽造・変造などを防ぐためのものです。

自筆証書遺言が封印してある場合には、家庭裁判所の検認手続きの前に開封しないように注意してください。封印してある遺言書を検認前に開封することは違法で、5万円以下の過料にすると民法1005条に定められています。また、開封することで遺言そのものが無効になるわけではありませんが、遺言の内容によってその有効性を争うような事態になったときに不利になる可能性もあります。

民法第1023条  (前の遺言と後の遺言との抵触等)
1 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

チェスター相続クラブ

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