相続の承認及び放棄の撤回及び取消し
一度相続の承認や放棄などをすると、撤回はできません
身内が亡くなって相続が始まった場合、一定の期間内に相続するかどうか決めなくてはなりません。
具体的には3か月以内に、承認するか放棄するかを決めなければ、そのまま承認したことになります。この場合は単純承認となり、プラスの財産のほか、負債などのマイナスの財産についても相続することになります。負債が大きいことが明確な場合などは、相続放棄や限定承認などの方法を取る必要がある場合があります。
相続放棄や限定承認は、家庭裁判所に申し立てて行います。相続放棄は各相続人ごとに一人でできますが、限定承認は共同相続人すべてがそろってする必要があります。
相続放棄はそもそも相続人にならないというものです。相続人としての権利義務をすべて失うことになります。
限定承認は、相続財産と負債を清算したうえで、プラスの財産が残っていた場合に相続するものです。
これらは相続開始後3か月以内に裁判所に申し立て、受理されれば効力を生じます。注意しなければならないのは、それ以降は撤回できなくなることです。たとえ3か月以内であったとしても、受理されたものは相続人の都合や心変わりでは撤回できません。承認か放棄かを決定する際には慎重に判断しましょう。
しかし、詐欺や脅迫、制限行為能力者であったなどの特別な取り消し原因がある場合は、取り消すことができます。取消権は追認できる時から6か月、取り消し原因に気づいていなくても承認や放棄から10年で消滅しますから、注意してください。
第919条
1.相続の承認及び放棄は、第915条第一項の期間内でも、撤回することができない。
2.前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3.前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
4.第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
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