特定障害者扶養信託契約の「特別障害者の居住の用に供する不動産」の範囲

特別障害者が居住する不動産を一定の条件で信託した場合、その信託に対して一定額まで贈与税が非課税となります。そこで、特定障害者の居住する建物をその兄が所有し、その敷地をその父母と兄が共有する場合、その敷地の父の持分の信託に対して、贈与税は非課税となるのでしょうか。以下では、この問題について考えます。

特定障害者扶養信託契約とは

特定障害者扶養信託契約とは、重度の心身障害や中程度の知的障害等を持つ方の生活の安定を図るために、その方のご親族等を委託者、信託銀行等を受託者、障害者の方を受益者として、受託者が委託者に対して、金銭や有価証券等の財産を信託する契約のことをいいます。

信託を受けた信託銀行等の受託者は、信託された財産を管理・運用し、受益者である障害者の方の必要に応じて、生活費や医療費を定期的に交付します。これにより、障害者の方は、安心して暮らすことができます。

特定障害者に対する贈与税の非課税制度とは

特定障害者扶養信託契約を締結すると、委託者から受託者に対して、財産の給付が行われます。しかし、この財産の給付については、特定障害者に対する贈与税の非課税制度が設けられているため、重度障害を持つ特定障害者の方が受益者の場合は6,000万円まで、それ以外の特定障害者の方には3,000万円まで、贈与税が課税されません。

「特別障害者の居住の用に供する不動産」の範囲について

特定障害者に対する贈与税の非課税制度は、相続税法第21条の4第1項で規定されていますが、この規定による特定障害者Xが、両親A、Bと兄CとともにCの所有する建物に居住していました。また、Xが居住する建物の敷地は、A、B、Cの3人の共有地となっております。

ここで、Aが、建物の敷地の持分と、現金1,500万円を合わせて、Xを受益者として、特定障害者扶養信託契約を締結した場合、現金1,500万円については相続税法で規定されている贈与税の非課税制度の適用があることは間違いないのですが、建物の敷地のA持分については、同制度の対象になるのかという照会が国税庁になされました。

これに対して、国税庁は、敷地上に立つXの居住している建物は、Xの兄Cの所有にかかるものであり、特定障害者の居住の用に供する不動産といえるので、この敷地の持分の信託に関しても贈与税は課税されない。ただし、贈与税が課税されためには、現金1,500万円と共に信託される必要があると回答しました。

「特別障害者の居住の用に供する不動産」の範囲を広く解釈した国税庁の見解

相続税法施行令第4条の11第6号によると、特定障害者扶養信託契約に基づく信託の受益者である特定障害者の居住の用に供する不動産で、同じ特定障害者信託契約に基づいて信託される金銭・有価証券等と共に信託されるものは、相続税法第21条の4の贈与税非課税制度が適用される財産とされます。

この国税庁の見解は、特定障害者が居住し、かつ、特定障害者の親族(兄)が所有する建物の敷地の、特定障害者の父が所有する共有者持分もまた、贈与税が非課税となる、「特別障害者の居住の用に供する不動産」の範囲に含まれると、その範囲を広く解釈したものということができます。

チェスター相続クラブ

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