チェスターNEWS -2015/07/30-
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相続放棄をした場合に発生する税金ってあるの?

1. 相続放棄とは
◆相続放棄をするとどうなるのか?
相続放棄とは、「相続を放棄する」こと、つまり、被相続人(亡くなった人)の資産も負債も相続しないことです。相続放棄をした人は、初めから「相続人でなかった」ことになります。
◆相続放棄の手続きはどのように行うのか?
相続が開始した(亡くなった)ことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てをすることで、相続放棄をすることができます。何も手続きをしない場合、または相続財産を使用した場合等は、単純承認した(相続放棄をしなかった)とみなされ、もはや相続放棄をすることはできません。
2-1. 相続放棄をした場合の税金
◆相続税、所得税等
相続放棄をした場合、承継する相続財産は無いということになりますので、相続財産に係る相続税を支払う義務はありません。相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったことになるため、被相続人の未払の所得税、市県民税、固定資産税等についても、支払う必要はありません。
2-2. 生命保険金
◆生命保険金の取り扱い
通常の相続財産と取扱いが異なるものに、生命保険金があります。相続財産とは被相続人に帰属する財産ですが、生命保険金は契約で受取人が指定されているため、被相続人の財産ではなく、指定された受取人の財産であるという取扱いになります。
しかし、生命保険金についても、相続税の計算上は「みなし相続財産」という取扱いになり、相続税が課税されます。つまり、相続放棄をした場合であっても、生命保険金の受取人として生命保険金を受け取った場合には、相続税を支払う義務があります。
◆生命保険金の非課税
生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」という非課税となる部分があります。例えば、法定相続人が子2人なら、500万円×2人=1,000万円までは、相続税が非課税になります。しかし、相続放棄をした人は、この非課税枠を適用することができません。非課税枠を計算するうえでの人数には含めますが、放棄した本人は非課税枠を使うことができないとういうことです。上の例で、例えば子2人(AとB)のうち、Aが相続放棄をした場合、非課税枠の計算上はAを含めるので、非課税となる金額は1,000万円です。しかし、Aは相続人ではないので、その1,000万円の非課税枠は全てBに適用されることになります。Aは受け取った生命保険金の額全てに対し、相続税が課税されてしまいます。
3. 相続税はどのように計算するのか
相続税には、基礎控除という非課税の部分があります。平成27年度以降の相続ですと、基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。上の例なら、法定相続人が2人なので、基礎控除は4,200万円です。さらに、生命保険金の非課税枠が1,000万円あるので、計5,200万円までは相続税がかからないことになります。
つまり、結論としては、相続放棄をしても、生命保険金については、受取人に相続税の支払義務がある、しかし、生命保険金を含めた全ての財産の合計額が基礎控除+生命保険金の非課税枠以下なら、そもそも相続税はかからない、ということです。


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