チェスターNEWS -2015/08/06-
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贈与税の時効は6年?7年?

1.贈与税の時効は何年?
①時効とは
刑事事件と同じように、税金についても時効があります。
税金を納める必要があったのに、税金を納めないままある一定の期間を経過すると、時効が成立し、税務署は税金を徴収できなくなります。
②贈与税の時効
期限内に税金の申告書の提出をしていない場合は、申告期限から5年経過すると時効が成立しますが、贈与税の時効は他とは違い、申告期限から6年経過で時効が成立します。
また、悪質な場合には、申告期限から7年経過で時効が成立します。
2.贈与とは?贈与税とは?
そもそも贈与とはどのような行為なのでしょうか。また、贈与税とはどのような税金なのでしょうか。
①贈与とは
自己の財産を無償で相手方に与える契約のことです。契約なので、「あげます」「もらいます」というお互いの意思の合意が必要です。
②贈与税とは
贈与税とは、相手からの贈与によって受け取った財産に課せられる税金です。
【納税方法】
申告納税のため、納税者が自ら納付すべき税金を計算し、税務署に申告書を提出し、納税しなければなりません。
【納税義務者】
財産を受け取った者
【申告期限】
財産を取得した年の翌年2月1日から3月15日まで
【基礎控除】
基礎控除があり、年間110万円の範囲内であれば、贈与税は課せられません。110万円を超える贈与について、超えた分に税金がかかります。
【贈与税の計算】
贈与税は下記の表に当てはめて計算します。
※1 特例贈与
直系尊属(祖父母や父母など)から、20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。
※2 課税価格
課税価格とは、もらった財産の金額から基礎控除110万円を控除した金額です。
〈具体例〉
2015年7月1日に、BはAから1,000万円の現金をもらった。(一般贈与の場合)
(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円
→ Bは2016年2月1日から2016年3月15日の間に、税務署に贈与税申告書を提出し、かつ231万円を納付しなければならない。
3.時効を迎えたとしても税金がかかるってなんで?
贈与税の時効が成立した場合には、贈与税を支払う義務が消滅します。
ただし、時効が成立したからといって税金が全く課税されないのかというと、そうではありません。
どのような場合に税金が課税されるか、それはそもそも贈与なんてなかったとされた場合です。
例えば、AがBにお金を渡した場合、この取引が贈与ではないとされてしまうと、AはBに現金を預けているだけということになります。
この状態でAが亡くなった場合には、Bに預けているお金はAの相続財産に加算され、相続税が課されてしまいます。
時効という考えはないので、10年前にAがBに預けたお金であっても、Aの相続財産となります。
4.贈与が成立していないとされる場合
以下のケースでは、贈与が成立していないとされることがあります。
①お互いの意思の合意がない
贈与にはお互いの意思の合意が必要です。一方的に財産をあげたと主張しても、受け取る人に意思がない場合には、贈与は成立しません。
②管理・支配が移転していない
お互いの意思の合意があったとしても、その財産の管理・支配が財産を受け取った人に移っていなければ、贈与が成立したとは言えません。
例えば、AがB名義の銀行口座に現金を預け入れたとします。B銀行の通帳や届出印をAが管理しているのであれば、財産はAからBに贈与されたとは言えません。
③夫婦間の贈与
夫婦間の資金移動は贈与と認められないことが多いです。
例えば、専業主婦の妻が夫から生活費をもらい、夫の承諾のもと生活費の余りを妻名義の預金口座に預け入れ、妻が自由に使っていたとします。
意思の合意があり、口座の管理が妻に移っていたとしても、妻名義の口座の原資は夫であるため、夫が亡くなった場合には妻名義の口座に残っている預貯金は、夫の相続財産となってしまいます。

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