チェスターNEWS -2015/08/13-
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贈与税がかからない生活費・教育費等の金額の上限は!?

国税庁HPタックスアンサー No.4405 「贈与税がかからない場合」によると
「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。
引用元:国税庁タックスアンサー No.4405 贈与税がかからない場合
上記のように記載されています。では、この贈与税がかからない生活費・教育費というのは具体的にどういったものが該当し、実施いくらぐらいまでは認められるのでしょうか。以下、あくまで私見ですが、ケース別に解説させていただきます。
ケース別に解説・贈与税がかからない場合
1)結婚のお祝い金
社会通念上相当と認められる部分については、贈与税の対象とならないとなっています。
まず、結婚のお祝いでも直接結婚に関する支払いに充てる場合とそうでない場合によって取り扱いがかわってきます。例えば、結婚式の支払いを親がするといった場合は、実際にかかった実費であればたとえ何百万円でも贈与にはならないでしょう。また、新生活を始めるにあたって家具や家電を購入する費用を親が直接出した場合も同様です。
一方、現金を直接渡す場合ですが、一概にいくらまでとは言えませんが、
・10万円→問題ないでしょう
・100万円→まず問題ないでしょう
・1,000万円→問題になる可能性が高いでしょう
ただ、100万円がOKで、120万円がNGといった明確な線引きはありません。社会通念上といっても、その両親の所得や、また地域によってもその社会通念はかわってきますのでなかなか判断が難しい部分です。
2)車を買ってあげる
例えば、中古の軽自動車で100万円の車を子供に買ってあげる。これは、問題ないでしょう。生活に必要だからという理由ではなく、年間110万円まではたとえ生活費ではなくても贈与税が課税されないというルールがあるからです。
ただ、500万円の新車を買ってあげるなど、基本的に110万円を超える車を子供に買ってあげた場合には、贈与になります。車はそれ自体が換金が可能な資産となり、日用品である冷蔵庫などの家電などとは訳が違います。
子供に車を買ってあげたい場合は、親の名義で登録して、子供に無料で使わせてあげるという方法をとるのが一般的です。タダで貸すという行為は、税務上は特に問題ありません。
3)学校の入学金や塾の授業料を出してあげる
これは、通常必要な教育費であれば問題ありません。贈与税の対象とはなりません。教育上必要なもの、教材費、制服代、文房具代、交通費、修学旅行の参加費なども含まれます。例え私学の医学部に進学するために1,000万円以上必要な場合でも、実費を都度直接支払っているのであれば、それは贈与税の範囲には該当しません。また海外留学のための学校の費用や渡航費などについても、基本的には贈与税の範囲には該当しません。
ただ、ここで重要なのは必要な都度、必要なだけ、渡すことです。
4)子供の賃貸住宅の家賃を出してあげる
これは、子供の収入によって変わってきます。たとえば、子供が学生で収入はアルバイトで月10万円しかない状態で親元を離れて一人暮らしをしている。こういった場合は、親が子供の賃貸マンションの賃料を負担してあげてもまったく問題となりません。
しかし、子供は普通のサラリーマンで、通常の生活を営むだけの十分の収入がある場合、親がその子供の賃貸マンションの賃料を負担するとこれは贈与にあたる可能性が高くなります。
5)不妊治療や出産に関わる費用
これらは、「治療費に準ずるもの」という理由で、贈与税の対象となりません。よって子供に十分な収入があったとしても、実際にかかった実費であれば問題とはなりません。ただし、保険などによって補われる部分は除いて考える必要があります。
上記の情報については、国税庁より「「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)」が開示されているので、ここも参考にしていただければと思います。
だれからだれへの贈与ならOK??
上記のお話は、すべて扶養義務者相互間ということが前提です。では扶養義務者とは??
① 配偶者
② 直系血族及び兄弟姉妹
③ 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
④ 三親等内の親族で生計を一にする者
以上の4パターンとなります。たとえば、①の配偶者であれば、妻から夫、夫から妻。②であれば、親から子、子から親、祖父から子、子から祖父、兄から弟、弟から兄といった具合に相互間で認めれます。
その他注意点
1)大事なのは都度・必要なだけ。多めや一括はダメ。
重要なのはタイミングです。必要な都度、渡す。さらに外部への支払いの場合は直接払ってもらう。この点に注意しましょう。100万円で良いけど、ちょっと多めに120万円や、毎月10万円必要だけど、1年間分まとめて120万円渡してしまう。こういったことは避けましょう。
2)証拠を残す
通帳へのメモ書きでも大丈夫です。とりあえず、何か証拠となるものを残しておきましょう。特に金額の大きなもので外部への支払いが絡むものについては、その領収書などを保存しておいた方が無難でしょう。

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