チェスターNEWS -2015/11/17-
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QDOT(キューダット)とは?~アメリカの遺産税と日本の相続税~

1.QDOT信託(Qualified Domestic Trust)とは
QDOT信託とは、“キューダット”と読みますが、正式名称は“Qualified Domestic Trust”、和訳すると“適格国内信託”と言います。
アメリカでは日本よりも一般的な、“信託制度”の一つです。
1-1.アメリカでも日本と同じように相続税(遺産税)があるが配偶者控除が大きい
アメリカでも、日本と同じように相続税(遺産税)があります。
ただ、日本の場合と違い、配偶者が相続した財産は通常、全額が遺産から控除され遺産税はかからないことになっています。日本では、法定相続分もしくは1億6,000万円という上限がありますが、アメリカではこの上限がありません。つまり、配偶者が取得する財産は全額非課税となります。
ちなみに、この配偶者には日本と異なり、同性婚も含まれるようです。
1-2.但し、「配偶者がアメリカ国籍」を持たない場合は、この配偶者控除が使えない
但し、このアメリカの配偶者控除ですが、配偶者がアメリカ国籍を持たない場合には、一切認められません。アメリカ人の夫と結婚した日本人の妻や、もちろんその逆でも同様です。
1-3.QDOTを使えば、この配偶者にかかる遺産税を一時的に免除することが可能
ただ、アメリカ国籍がない配偶者が、アメリカ人の配偶者から相続した財産をこのQDOT信託に預け入れることで、この配偶者控除が一時的に認められます。
一時的というのは、この遺産を相続した配偶者が死亡し、その子供がこのQDOT信託を相続する場合にはその当時に一時的に免除されていた遺産税が差し引かれた形でこのQDOT信託の解約・換金ということになります。
ちなみに、QDOT信託を設定する際に、配偶者が死亡した場合に次にこれを受け継ぐものを受取人として指定しておきますので、配偶者が死亡した場合には、その受取人がこのQDOTを引き継ぐこととなります。
1-4.アメリカの遺産税の基礎控除は約5億円
日本の相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×相続人となっていますがアメリカではこの基礎控除が、525万ドル、つまり、1ドル=100円換算でも5億円を超える金額となっています。
つまり、相当の資産家でないとアメリカでは遺産税がかからないこととなります。

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